クライアント端末の機能を最小化し、処理やデータをサーバ側に集約する方式。
シンクライアントとは、手元の端末(クライアント)の機能をできるだけ少なくし、実際の処理やデータの保管をサーバ側にまとめる方式のことです。シンは英語の thin(=薄い) で、「中身が薄い端末」という意味になります。
ふつうのパソコン(=処理もデータ保管も自分で行う端末。これを「ファットクライアント」と呼びます)と違い、シンクライアントの端末が担当するのは次の2つだけです。
・画面の表示:サーバ側で動いている画面をそのまま映す
・入力の送信:キーボードやマウスの操作をサーバへ送る
身近な例で考えると、テレビとリモコンの関係に似ています。リモコン(端末)はボタンを押す=入力を送るだけで、番組を流す処理そのものは放送局やレコーダー(サーバ)側にあります。手元には映像が映るだけで、中身は持っていません。
シンクライアントの仕組みでは、端末はサーバの画面を映し、操作を送り返すだけという役割分担になります。実際の計算やファイルの読み書きはすべてサーバ上で行われます。
この役割分担を実現する代表的な仕組みには、次のようなものがあります。
・画面転送方式:サーバで描いた画面を画像として端末に送り、端末は入力だけを返す
・VDI(=Virtual Desktop Infrastructure、仮想デスクトップ基盤):サーバ上に一人ひとり専用のデスクトップ環境を仮想的に用意し、それを端末から使う
結果として端末側にはアプリもデータも残りません。端末は壊れても替えがきく「窓口」のような存在になり、本体である処理とデータはサーバに集約されます。図書館にたとえると、利用者(端末)は窓口で本を見るだけで、蔵書そのもの(データ)は書庫(サーバ)から持ち出さない、というイメージです。
シンクライアント最大のメリットはセキュリティ(安全性)の高さです。端末にデータを残さないという特徴が、そのまま情報漏えい対策になります。
具体的には、次のような利点があります。
・紛失・盗難に強い:端末を失くしても中にデータがないため、情報が漏れない
・一元管理ができる:ウイルス対策ソフトの更新やパッチ(=不具合の修正プログラム)の適用を、サーバ側でまとめて行える
・持ち出しを制御できる:データはサーバにあるので、誰がいつコピーや印刷をするかを管理側で制限できる
身近な例で考えると、銀行の貸金庫に似ています。利用者は窓口で中身を確認するだけで、貴重品(データ)は厳重に管理された金庫(サーバ)から持ち出しません。だから持ち歩く手帳(端末)を落としても、金庫の中身までは盗まれない、というわけです。