前回のバックアップ以降に変更されたデータだけを保存する方式。
増分バックアップとは、前回のバックアップ(フルでも増分でも、種類を問わず直前のもの)以降に変更されたデータだけを保存する方式です。毎回その日の変更分しか保存しないので、1回あたりがとても小さくて速いのが特長です。
身近な例で考えると、「昨日の自分から今日変えたことだけを書く日記」に似ています。毎日「前回の続き」から今日の変化だけを書き足すので、1日分のメモは常に短く済みます。差分のように過去の分まで毎回まとめ直すことはしません。
上のツールで▶ボタンを押すと、月曜のフルのあと、火・水・木・金の増分が毎回その日の変更分だけを保存し、保存量が常に小さいままになる様子を確認できます。
増分バックアップの復元は、「フルバックアップ」と「その後のすべての増分」を使います。各増分は前回からの変更分しか持たないので、1つでも欠けると正しく戻せません。
復元の手順は次のとおりです。
・① フルを書き戻す:月曜のフルバックアップで土台を作る
・② 増分を古い順に重ねる:火 → 水 → 木 → 金 の順に1つずつ適用していく
・③ すべて適用して完了:全増分を順番に重ね終えて初めて最新状態になる
順番がとても大事で、「鎖(チェーン)のように1本でもリングが欠けるとつながらない」と考えると分かりやすいです。バックアップ自体は軽い分、復元には手間がかかります。上のツールの復元ステップで、フルから金曜まで矢印でつながっていく様子を確認できます。
増分とよく似た方式に差分バックアップがあります。違いは「変更分をどこから測るか」です。
・増分:基準は「前回のバックアップ」。前回以降の変更分だけなので毎回最小・最速だが、復元にはフルとすべての増分が必要
・差分:基準は「前回のフル」。フル以降の変更を累積するので日が経つと大きくなるが、復元はフルと最新差分の2つで済む
言い換えると増分は「保存は常に軽いが、復元が大変」、差分は「保存はだんだん重くなるが、復元が楽」という、ちょうど裏返しの関係(トレードオフ)です。実際の運用では「週1回フル+平日は増分」のように組み合わせ、保存の軽さと復元のしやすさのバランスを取ります。次の表で3方式を整理してみましょう。
| 項目 | フル | 差分 | 増分 |
|---|---|---|---|
| 保存する範囲 | すべて | 前回フル以降の累積 | 前回バックアップ以降 |
| 容量(1回) | 最も大きい | 日が経つと増える | 最も小さい |
| 復元の手間 | 1つだけ | フル+最新差分(2つ) | フル+全増分(順番) |