完成したソフトウェアをインターネット経由でサービスとして利用する提供形態。
SaaS(サース、Software as a Service = サービスとしてのソフトウェア)とは、完成したソフトウェアをインターネット経由でそのまま使える形で提供する形態のことです。利用者は自分のパソコンにインストールする必要がなく、ブラウザを開くだけで使えます。
身近な例で考えると、レンタルできる完成品の家電のようなものです。冷蔵庫を自分で組み立てたり修理したりせず、置いてあるものをコンセントに挿してすぐ使う感覚に近いです。アプリの中身(プログラムやサーバ)は事業者がすべて面倒を見てくれます。
クラウドサービスの3つの形態(SaaS / PaaS / IaaS)のなかで、SaaS はもっとも手軽です。利用者は「使うこと」だけに集中でき、土台となるOSやインフラの知識がなくても利用できます。
SaaS の最大の特徴は、利用者が管理する範囲が極端に狭いことです。アプリケーション本体・OS・インフラはすべて事業者が運用・保守します。
利用者が責任を持つのは、次のような限られた部分だけです。
・自分のデータ:作成した文書やメール、アップロードしたファイルなど
・一部の設定:通知や表示の好み、利用ルールの調整など
・アカウント管理:パスワードや誰にアクセスを許可するかの管理
上の図解の境界線(破線)を見ると、SaaS では境界が一番上にあり、ほぼ全部を事業者が引き受けていることが分かります。そのぶん利用者の手間は最小ですが、アプリの中身を自由に作り替えることはできません。
SaaS は私たちが普段使っているサービスの多くが当てはまります。代表的なものは次のとおりです。
・Gmail:ブラウザで使うメールサービス
・Salesforce:顧客管理(CRM)サービス
・Microsoft 365:WordやExcelをクラウドで使う
・Slack:チームのチャット・連絡サービス
・Dropbox:ファイル保存・共有サービス
どれもインストール不要でログインすればすぐ使える点が共通しています。これが「完成したソフトウェアをサービスとして使う」という SaaS の典型的な姿です。
クラウドサービスの提供形態はSaaS・PaaS・IaaSの3種類に分けられます。違いは「利用者が管理する範囲」です。
上の図の色分けで確認できます。
・IaaS(アイアース):仮想サーバ・ネットワークなどインフラだけを提供。OSやアプリは利用者が用意する(例:AWS EC2)
・PaaS(パース):アプリの動く実行環境まで提供。アプリ本体だけ利用者が作る(例:Heroku・Google App Engine)
・SaaS:完成したアプリまで事業者が提供。全レイヤーを事業者が管理
なぜ3種類があるのか。利用者の技術力や目的によって「どこから自分で作りたいか」が違うためです。インフラの細かい設定まで自分で制御したい開発者は IaaS、とにかくアプリを使うだけでよい一般ユーザーには SaaS、という選び方ができます。SaaS は手間がゼロな代わりに、アプリの動作を自由に変えることはできません。
SaaS が成り立つ理由の鍵は「マルチテナント」という仕組みです。マルチ=複数、テナント=入居者という意味で、1つのアプリを多くの利用者が同時に共有する方式です。
なぜこれで事業者が全部管理できるのか。アプリを1箇所だけ運用すれば全員に提供できるからです。マンションのオーナーが「全部屋の設備を一括で管理する」のと同じで、建物(アプリ・インフラ)を1つにまとめれば、メンテナンスやアップデートを1回やるだけで全入居者(利用者)に届きます。
もちろん利用者のデータはきちんと分離されていて、他の利用者から見えることはありません。「同じ建物に住んでいても、他の部屋の中身は見えない」のと同じです。こうした仕組みによって、事業者は低コストで多くの利用者へサービスを提供し、利用者は面倒な運用をせずに済みます。
Q1. SaaS の説明として最も適切なものはどれか。
Q2. SaaS において、利用者が主に管理する範囲はどれか。
Q3. 次のうち SaaS の代表的なサービスの組み合わせはどれか。