不特定多数の利用者が共用する、一般公開されたクラウド形態。
パブリッククラウドとは、クラウド事業者が提供する基盤を、不特定多数の利用者が共用する一般公開されたクラウドのことです。「パブリック(public)」は「公共の・みんなが使える」という意味です。
身近な例で考えると、大きな賃貸マンションに似ています。建物(クラウド基盤)は事業者が所有・管理し、多くの入居者(利用者)が同じ建物を部屋ごとに分けて使います。各部屋は鍵で仕切られていて、他の住人からは中が見えません。
代表的なパブリッククラウドには、AWS(Amazon)、Azure(Microsoft)、GCP(Google)があります。上の図解のように、1つの基盤を会社A・B・Cが論理的に分離されながら共有しています。
パブリッククラウドには次のようなメリットがあります。
・初期投資が不要:自前でサーバを買う必要がない
・従量課金:使った分だけ支払うので無駄が少ない
・すぐ使える:申し込んだその日から利用を始められる
・運用は事業者任せ:保守や故障対応を自社でしなくてよい
・容量を柔軟に増減:必要なときだけ増やし、不要になれば減らせる
とくに大きいのは「必要な分だけ、必要なときに」使える点です。アクセスが急増したときだけ容量を増やし、落ち着いたら減らせるため、ピークに合わせて高価な設備を持ち続ける必要がありません。電気や水道のように「使った分だけ払う」感覚です。
クラウドには、共用のパブリッククラウドのほかに、1つの組織が専用で使うプライベートクラウドがあります。両者は次のように対照的です。
| 項目 | パブリック | プライベート |
|---|---|---|
| 利用形態 | 不特定多数で共用 | 組織専用 |
| コスト | 低い(従量課金) | 高い |
| 導入の手軽さ | すぐ使える | 構築に時間がかかる |
| 自由度・カスタマイズ | 制約あり | 高い |
| セキュリティ制御 | 事業者に依存 | 自社で細かく制御 |
| 運用・保守 | 事業者が担当 | 自社の負担が大きい |
まとめると、パブリックは「共用・低コスト・手軽」だがセキュリティやカスタマイズに制約があり、プライベートは「組織専用・自由度とセキュリティが高い」がコストや運用負担が大きいという関係です。コスト重視ならパブリック、機密性や独自要件を重視するならプライベート、と使い分けます。
パブリッククラウドがなぜ低コストで使えるのか、その理由は「コストの割り勘」にあります。クラウド事業者は大量のサーバを自社で購入し、そのコストを利用する多くの会社・個人で分担します。
たとえば1台1,000万円のサーバを1社が買うと1,000万円の負担ですが、1,000社で共用すれば1社あたり1万円で済みます(実際は仕組みはもっと複雑ですが、割り勘の原理は同じです)。
・規模の経済:大量購入・大規模運用で1件あたりのコストが下がる
・従量課金:使った分だけ払うので、アクセスが少ない時間帯に無駄なコストがかからない
・運用の分散:保守・監視・障害対応を事業者がまとめて行うので、利用者は運用コストを負担しなくてよい
これはコインランドリーに似ています。自宅に洗濯機を1台買う(専用)より、コインランドリーを近所でみんなが使う(共用)ほうが、設備費を割り勘にでき手軽です。ただし使いたい時間帯に空いていないこともあります。これがパブリッククラウドの制約面です。
実際の組織では、パブリックとプライベートのどちらか一方を使うだけでなく、両方を組み合わせる「ハイブリッドクラウド」という使い方が広まっています。
なぜ組み合わせるのかというと、データや業務の性質によって最適な選択肢が違うからです。
・プライベートで管理したいもの:個人情報・財務データなど外部に出せない機密情報
・パブリックで使いたいもの:急なアクセス増に対応したい一般サービスや、コストを抑えたい処理
たとえば銀行では、顧客の口座情報(機密)はプライベートクラウドで管理しつつ、キャンペーンサイト(一般向け)はパブリッククラウドで動かす、という使い分けができます。パブリッククラウドを知ることは、こうした選択肢の幅を理解する第一歩です。
Q1. パブリッククラウドの説明として最も適切なものはどれか。
Q2. パブリッククラウドのメリットとして適切でないものはどれか。
Q3. パブリッククラウドとプライベートクラウドの違いとして正しいものはどれか。