故障してから復旧するまでにかかる平均的な修復時間を表す指標。
MTTR(平均修復時間)とは、英語の Mean Time To Repair(=修理にかかる平均時間)の略で、故障してから復旧するまで、平均してどれだけ時間がかかるかを表す指標です。
身近な例で考えると、車が故障してから整備工場で直って戻ってくるまでの時間に似ています。「平均して半日で直る車」と「平均1週間かかる車」では、前者のほうが早く直せて便利ですよね。MTTR もこれと同じく「壊れたあと、どれだけ早く復旧できるか」を表しています。
上のツールで▶ボタンを押すと、タイムライン上の修復期間(オレンジ)を集計し、故障回数で割って MTTR を求める流れを確認できます。
MTTR は、修復にかかった時間の合計を、故障した回数で割るだけで求められます。
MTTR = 総修復時間 ÷ 故障回数
計算の手順は次のとおりです。
・① 総修復時間を合計:それぞれの故障で修復にかかった時間をすべて足す(正常に稼働していた時間は含めない)
・② 故障回数を数える:期間中に何回故障(=修復)したかを数える
・③ 割り算:①を②で割った値が MTTR
具体例で計算してみましょう。
総修復時間 = 2 + 3 + 1 = 6h
故障回数 = 3回
MTTR = 6 ÷ 3 = 2h
上のツールでシナリオを切り替えると、修復にかかる時間に応じて総修復時間が変わり、MTTR が再計算される様子を確認できます。
MTTR とよく一緒に登場する指標に MTBF(平均故障間隔)があります。MTBF は英語の Mean Time Between Failures(=故障と故障の間の平均時間)の略で、「正常に稼働していた時間の平均」を表します。
2つの指標は測る対象が正反対です。
・MTBF(=壊れにくさ):稼働時間の平均。長いほど故障しにくい=信頼性が高い
・MTTR(=直しやすさ):修復時間の平均。短いほど早く直せる=保守性が高い
なぜ2つに分けるのか。それは「壊れにくくする工夫」と「壊れたら早く直す工夫」は別々の取り組みだからです。部品の品質を上げればMTBFは伸びますが、修理マニュアルを整備したり予備部品を用意したりしないとMTTRは縮まりません。両方の指標を別々に把握することで、どちらの改善が必要かを判断できます。車に例えると、MTBF は「壊れるまでどれだけ走れるか」、MTTR は「壊れたあとどれだけ早く整備工場から戻ってくるか」です。
MTBF と MTTR を合わせると、稼働率(=使える時間の割合)を計算できます。稼働率とは、全体の時間のうちシステムが正常に動いていた時間の割合のことです。
稼働率 = MTBF ÷ (MTBF + MTTR)
なぜこの式になるのか。「MTBF + MTTR」は稼働と修復を1サイクルとしたときの合計時間です。そのうち実際に稼働しているのが MTBF の部分なので、MTBF をサイクル全体で割れば「使えている割合」が出ます。
具体的な数値で確認しましょう。
・例:MTBF = 90h、MTTR = 10h のとき
・稼働率 = 90 ÷ (90 + 10) = 90 ÷ 100 = 0.9(90%)
稼働率を上げるにはMTBFを大きくする(壊れにくくする)か、MTTRを小さくする(早く直せるようにする)の2通りがあります。どちらを先に改善すれば効果が大きいかは、現状の値を見て判断します。
MTTR は保守性(直しやすさ)の物差しです。MTTR が短いほど故障してもすぐに直せるので、MTTR が短いほど保守性が高いと言えます。
ここで大切なのは、MTBF(信頼性)と MTTR(保守性)は別の性質だという点です。MTBF は「壊れにくさ」、MTTR は「壊れたあとの直しやすさ」を表します。たとえば同じくらい故障するシステムでも、片方は5分で直り、もう片方は1日かかるなら、前者のほうが保守性が高いと判断できます。
MTTR を短くするには、予備部品をすぐ用意できるようにしたり、復旧手順をマニュアル化したりといった工夫が役立ちます。上のツールで修復時間が短いシナリオと長いシナリオを比べ、修復時間が短い(=MTTR が短い)ほど保守性が高くなることを確認してみてください。