構成要素の品質を高め、そもそも故障が起こらないようにする設計思想。
フォールトアボイダンスとは、構成要素の品質を高め、そもそも故障が起こらないようにする設計思想のことです。「フォールト=故障」「アボイダンス=回避」で、「故障を回避する」という意味になります。
考え方の前提は「故障そのものを起こさせない」ことです。一つ一つの部品を丈夫で信頼性の高いものにし、十分にテストすることで、故障が発生する確率を下げます。故障した後にどう対応するかではなく、故障する前の段階で防ぐことに力を注ぐのが特徴です。
身近な例で考えると、長持ちする丈夫な車を選び、こまめに点検するのと同じ発想です。故障してから直すのではなく、壊れにくい部品を使い、日頃の整備で不調の芽を摘んでおく──これがフォールトアボイダンスの基本的な考え方です。
フォールトアボイダンスは、故障の発生確率を下げるための地道な作り込みで実現します。代表的な手法には次のようなものがあります。
・高品質・高信頼の部品採用:壊れにくく実績のある部品を選ぶ
・十分なテスト・品質管理:出荷前に不具合を徹底的に洗い出す
・余裕を持った設計(ディレーティング):部品を能力の限界まで使わず、余力を残して使う
・定期保守:定期点検や部品交換で、劣化による故障を未然に防ぐ
ここで出てきたディレーティングとは、たとえば「100まで耐えられる部品を70までしか使わない」ように、定格(その部品が安全に出せる上限)に対して余裕を持たせて使うことです。常に全力で使い続けると傷みやすいため、余力を残すことで長持ちさせます。これらはどれも「壊れてから直す」のではなく「壊れる前に手を打つ」という発想です。
最も対比すべき相手がフォールトトレランス(フォールトトレラント)です。フォールトアボイダンスは「故障させない」、フォールトトレランスは「故障する前提で耐える」と、出発点が正反対の対の関係にあります。
| 観点 | フォールトアボイダンス | フォールトトレランス |
|---|---|---|
| 基本の考え方 | 故障させない | 故障する前提で耐える |
| 主な手段 | 高品質な部品・テスト | 多重化(冗長化) |
| 故障への向き合い方 | 発生を未然に防ぐ | 起きても影響を抑える |
覚え方としては、フォールトアボイダンスは「故障を避ける(起こさせない)」、フォールトトレランスは「故障に耐える(起きても平気にする)」と対で押さえると区別しやすくなります。前者は部品の信頼性を高める方向、後者は予備を持って冗長化する方向、と作り方も逆向きです。
Q1.フォールトアボイダンスの説明として最も適切なものはどれか。
Q2.フォールトアボイダンスの手法として最も適切なものはどれか。
Q3.フォールトアボイダンスとフォールトトレランスの関係として適切なものはどれか。