インターネット経由でコンピュータ資源をサービスとして利用する形態。
クラウドコンピューティングとは、自前でサーバを持たず、インターネット越しに事業者の計算資源を必要な分だけサービスとして利用する形態のことです。
ここでいう計算資源とは、サーバ・記憶領域(ストレージ)・ソフトウェアなど、処理に必要な道具一式のことです。これらを買いそろえて社内に置くのではなく、事業者が用意したものをネット経由で借りて使います。
身近な例で考えると、電気や水道に似ています。各家庭が発電機や井戸を持つ代わりに、必要なときに使った分だけ料金を払う仕組みです。クラウド(cloud=雲)という名前は、ネットワークの向こう側にある資源を雲のように描いて表したことに由来します。
クラウドには、米国のNIST(=アメリカの標準化を行う政府機関)が定めた5つの基本特性があります。これらをすべて満たすものがクラウドと呼ばれます。
・オンデマンド・セルフサービス:利用者が必要なときに自分で申し込んで使える(人手の手続き不要)
・幅広いネットワークアクセス:PC・スマホなど色々な端末からネット経由で使える
・リソースの共用(マルチテナント):1つの設備を複数の利用者で分け合って使う
・迅速な拡張性(スケーラビリティ):必要に応じてすぐに増やしたり減らしたりできる
・計測可能なサービス(従量課金):使った量を計測し、その分だけ料金を払う
マルチテナントとは、1棟のマンションに複数の住人が住むように、1つの大きな設備を多数の利用者で共有する仕組みのことです。設備を共用することで、コストを下げられます。
身近な例で考えると、レンタルスペースに似ています。空いた部屋を必要なときだけ自分で予約し(オンデマンド・セルフサービス)、人数が増えれば部屋を追加し(拡張性)、使った時間分だけ払う(従量課金)──この使い勝手の良さがクラウドの特徴です。
クラウドを使う主なメリットには次のものがあります。
・初期投資が不要:高価なサーバを購入しなくてよい
・必要な分だけ従量課金:使った量に応じた支払いでムダがない
・すぐ使える:機器の調達を待たず、申し込んだらすぐ使い始められる
・運用を任せられる:機器の故障対応や保守を事業者に任せられる
自前で機器を買って社内に置く方式をオンプレミスと呼びます。オンプレミスは最初に大きな費用がかかり、機器が届くまで時間も必要です。クラウドはこの負担を抑えられる点が大きな魅力です。
なお、クラウドには提供する範囲によってSaaS・PaaS・IaaSという形態があります(別ページで解説)。どこまでを事業者に任せ、どこから自分で扱うかが、それぞれで異なります。
クラウドが低コストで即座に使える理由は、「規模の経済」と「リソースの共用」にあります。
クラウド事業者は世界中に巨大なデータセンター(=大量のサーバが集まった施設)を持ち、その設備を多数の利用者で共用(マルチテナント)します。設備を大量に買うほど1台あたりの単価が下がり(規模の経済)、1つのサーバを複数の利用者で分け合うことで、1人あたりの実質コストをさらに圧縮できます。
また、設備があらかじめ大量に用意されているため、利用者が申し込むと空いているサーバをすぐ割り当てられるのです。自前でサーバを買う場合は注文から届くまで数日〜数週間かかりますが、クラウドなら数分で使い始めることができます。これは「在庫が棚に並んでいるから、お客さんが来たらすぐ渡せる」のと同じ仕組みです。
クラウドには、誰が使えるかによって3つの提供方式があります。
・パブリッククラウド:Amazonや Googleなどの事業者が大規模な設備を用意し、誰でもインターネット経由で利用できる形態。最も一般的なクラウドの形です
・プライベートクラウド:ある特定の組織(企業など)だけが使う専用のクラウドを自社または専用の施設で構築・運用する形態。セキュリティや法律上の理由で外部のサービスが使いにくい場合に向いています
・ハイブリッドクラウド:パブリックとプライベートを組み合わせた形態。機密データはプライベートに置き、負荷が増えたときだけパブリックを使うなど、用途に応じて使い分けます
なぜ3種類あるのか。クラウドの便利さ(低コスト・すぐ使える)を取りたい一方で、「他社と設備を共用すると情報が漏れるかもしれない」という不安がある組織もあります。そのため、使う人・目的に合わせて選べるよう複数の方式が生まれました。
Q1. クラウドコンピューティングの説明として最も適切なものはどれか。
Q2. クラウドコンピューティングの5つの基本特性(NISTの定義)に含まれないものはどれか。
Q3. クラウドコンピューティングのメリットとして適切なものはどれか。