計画値と出来高・実コストを比較して進捗とコストを管理する手法。
EVM(アーンドバリューマネジメント)とは、Earned Value Management の略で、計画値と、実際の出来高・実コストを比較し、進捗とコストの両方を同時に管理する手法です。「アーンドバリュー」は「稼いだ価値(=終わった作業の価値)」という意味です。
身近な例で考えると、夏休みの宿題の進み具合チェックに似ています。「予定では半分終わっているはず(計画値)」「実際はどこまで終わったか(出来高)」「そのために何時間使ったか(実コスト)」を並べると、遅れているのか・効率が悪いのかが一目で分かります。
上のツールで▶ボタンを押すと、PV・EV・ACの3本の線を1本ずつ重ねていき、進捗の遅れとコスト超過を読み取る流れを確認できます。
EVMでは、3つの値をすべて「お金(金額)」の単位にそろえて比べます。これがEVMの最大の工夫です。
・PV(計画値):Planned Value。計画上、その時点までに完了しているはずの作業を金額で表したもの。例では第4週で80万円ぶん
・EV(出来高):Earned Value。実際に完了した作業を、計画上の金額で換算したもの。例では60万円ぶん
・AC(実コスト):Actual Cost。その出来高を達成するために実際にかかったお金。例では75万円
ポイントは3つの線の位置関係です。EVがPVより下なら「予定より作業が遅れている」、ACがEVより上なら「同じ作業に予定より多くお金を使っている(コスト超過)」と読みます。上のツールでは、EVがPVを下回り、ACがEVを上回っているので、遅れとコスト超過が同時に起きている状態です。
3つの値から、進捗とコストの効率を表す2つの指標を計算します。どちらも1を基準にして良し悪しを判断します。
SPI = EV / PV / CPI = EV / AC
・SPI(スケジュール効率指標):EV ÷ PV。1より大きければ予定より進んでいて、1より小さければ遅れている。例は 60/80 = 0.75 で遅れ
・CPI(コスト効率指標):EV ÷ AC。1より大きければ予算より安く済んでいて、1より小さければコスト超過。例は 60/75 = 0.80 で超過
どちらも分子がEV(出来高)で共通している点が覚えるコツです。SPIは計画(PV)と比べ、CPIは実費(AC)と比べる、と整理しましょう。SPIもCPIも1を下回ったら危険信号で、上のツールの例のように両方0.7〜0.8だと「遅れていて、しかも高くついている」ので早めの対策が必要だと判断できます。
EVMでは差引き計算で「いくら遅れているか」「いくら超過しているか」を金額で表します。
・SV(スケジュール差異)= EV − PV。マイナスなら計画より作業が遅れている
・CV(コスト差異)= EV − AC。マイナスなら使ったお金が出来高より多い(コスト超過)
なぜ差引きで見るのか。SPI・CPIが「どのくらいの効率か(比率)」を示すのに対し、SV・CVは「どのくらいの金額ぶん遅れているか・超過しているか(絶対量)」を示します。たとえばSPIが0.75でも、元の予算が10万円か1000万円かで状況の深刻さは大きく違います。差異の絶対量を見ることで、対策の優先順位を付けやすくなります。
具体例(上のツール・第4週):
・SV = 60 − 80 = −20万円:20万円ぶんの作業が計画より遅れている
・CV = 60 − 75 = −15万円:同じ出来高に15万円余分にかかっている
このようにSV・CVが両方マイナスの状態は「遅れていて、しかもコストがかさんでいる」黄信号です。
結論:EVMがないと、進捗の「うそ」を見抜けません。たとえば「予算100万円のうち80万円使い、残りは20万円」という状態だけを見ると、あと少しで完了するように見えます。しかし実際に終わった作業(出来高)が50万円ぶんしかないなら、すでにコスト超過で、しかも遅れています。
なぜこういうことが起きるのか。従来の管理では「時間がどれだけ経ったか」「お金をどれだけ使ったか」の2つしか見ていないからです。EVMは「どれだけ終わったか(出来高)」という第3の軸を加えることで、進み方の良し悪しを正確に計測できるようにします。
身近な例で考えると、工事現場の進捗確認に似ています。「材料費を80%使った」だけでは進み具合は分かりません。「全工程のうち何%の工事が完了したか」と組み合わせてはじめて「順調か・遅れか・コストがかさんでいるか」が見えてきます。これがEVMが多くのプロジェクト管理で使われる理由です。