作業経路のうち最も時間がかかり全体の所要期間を決める経路。
クリティカルパスとは、作業経路のうち最も時間がかかり、全体の所要期間を決める経路のことです。プロジェクトはすべての作業が終わって初めて完了するため、いちばん長い経路が「全体の長さ」を決めてしまいます。
身近な例で考えると、家族で旅行の準備をする場面に似ています。何人かが同時に準備しても、いちばん時間のかかる人の準備が終わるまで出発できません。その「いちばん遅い列」がクリティカルパスです。
上のツールで▶ボタンを押すと、2つの経路を順番にたどって所要日数を比べ、長いほうがクリティカルパスとして赤く強調される流れを確認できます。
クリティカルパスは、すべての経路の所要日数を出して、その中の最長を選ぶだけで求められます。手順は次のとおりです。
・① 経路を洗い出す:開始から完了までたどれるルートを全部書き出す
・② 各経路を合計:その経路に含まれる作業の所要日数を足す
・③ 最長を選ぶ:合計が最も大きい経路がクリティカルパス
経路1:A+C+E = 3+4+2 = 9日 ← 最長
経路2:B+D+E = 2+1+2 = 5日
クリティカルパス = 9日
経路が多いときは、各結合点で「最早終了日(そこまでに最も早く到達できる日)」を順に計算していくと、最後の結合点の値がそのままクリティカルパスの長さになります。上のツールの経路の比較で、2本の合計を見比べられます。
結論:プロジェクトは「すべての経路が完了」して初めて終わります。並行して進む経路があっても、最後に合流する点(結合点)は全経路が届くまで次へ進めません。そのため最も遅い経路(最長経路)が全体を待たせ、その長さがそのままプロジェクトの所要期間になります。
身近な例で考えると、料理の段取りに似ています。カレーを作るとき、米を炊く(40分)と野菜を切る(10分)を同時に始めても、ご飯が炊き上がる40分後までカレーライスとして出せません。「40分」が全体の最短完了時間になります。
逆に言うと、クリティカルパス以外の経路は余裕(フロート)を持っています。5日の経路はクリティカルパス9日との差、4日間ゆとりがあります。この余裕がある間は、その経路の作業が少し遅れても全体には影響しません。
フロート(余裕時間)とは、ある作業が何日遅れても全体の完了日に影響しないかを表す数値です。
フロート = クリティカルパスの長さ − その経路の合計日数
たとえば「クリティカルパス9日」のプロジェクトで、ある経路の合計が5日なら、フロートは 9 − 5 = 4日。その経路の作業は4日まで遅れても大丈夫です。しかし5日遅れると全体も遅れます。
クリティカルパス上の作業はフロートが0です。1日でも遅れるとそのまま全体が遅れます。だからクリティカルパスを重点管理することがプロジェクト管理の基本になります。フロートが0でない作業は、余裕の範囲で人員を他の作業に回すことができます。
クリティカルパスをめぐっては、次のような計算がよく登場します。どれもクリティカルパスの長さがプロジェクト全体の所要期間になる、という性質が土台です。
・全体の所要日数を求める:最長経路の合計を計算する(例では9日)
・余裕時間(フロート)を求める:各作業の最遅開始日から最早開始日を引く。クリティカルパス上は必ず0
・短縮の効果を考える:クリティカルパス上の作業を短くすると全体が縮むが、短くしすぎると別の経路が最長に入れ替わる
とくに注意したいのが3つ目です。クリティカルパス(9日)の作業を縮めても、もう一方の経路(5日)との差以上には縮みません。ある経路を縮めると別の経路が新たなクリティカルパスになることがある、という点を押さえておきましょう。上のツールのSTEP6で全体の所要期間とクリティカルパスの関係を確認できます。