点や線を座標と数式で記述し、拡大しても劣化しない画像形式。
ベクター画像とは、点や線を座標と数式で記述する画像形式のことです。「ベクトル画像」とも呼ばれます。たとえば円なら「中心の座標と半径」、直線なら「2点の座標」といった数値だけで形を持ちます。
身近な例で考えると、「点Aから点Bまで線を引く」という設計図(指示書)に似ています。実際に描くときは、その指示に従ってその場で線を引き直します。マス目を塗ったビットマップ画像とは、形の覚え方がまったく違うのです。
上のツールで▶ボタンを押すと、数式で描いた円を拡大しても、なめらかさを保ったまま表示される様子を確認できます。
形を数式で持つことの最大の利点は、表示するたびに数式から描き直す(再計算する)点にあります。半径の数値を大きくして描き直すだけなので、どれだけ拡大してもふちはなめらかなままです。
数式で記述することには、ほかにも次のような利点があります。
・拡大・縮小に強い:何倍にしても劣化しない(ジャギーが出ない)
・データ量が小さい:少ない数値だけで複雑な図形を表せる
・編集しやすい:座標や色をあとから自由に変えられる
「絵そのもの」ではなく「絵の描き方(レシピ)」を保存していると考えると分かりやすいです。レシピさえあれば、大皿にも小皿にも同じ料理をきれいに盛り付けられる、というイメージです。
拡大・縮小しても劣化しないという性質から、ベクター画像はサイズを変えて使い回す図形に向いています。代表的な用途は次のとおりです。
・アイコン:スマホの小さい表示でも、大きなポスターでもくっきり
・企業のロゴ:名刺から看板まで同じデータで使い回せる
・文字フォント:どんな文字サイズでもなめらかに表示
・地図・図面:拡大して細部を見てもガタガタにならない
一方で、色合いが複雑な写真の保存には向きません。写真のように1画素ごとに色がばらばらなものは、数式で表すのが難しいためです。そうしたものはビットマップ画像(JPEGなど)を使います。代表的なベクター形式にはSVGがあります。