ベース電流の有無でコレクタ電流をオン・オフし電子的なスイッチとして働く作用。
トランジスタのスイッチング作用とは、ベースに流す小さな電流のON/OFFで、コレクタ→エミッタの大きな電流をON/OFFする働きのことです。電気の力だけでスイッチを入れたり切ったりできるので、「電子的なスイッチ」と呼ばれます。
身近な例で考えると、水道の蛇口(じゃぐち)に似ています。指で軽くハンドルをひねるだけ(小さな力=ベース電流)で、勢いのある大量の水(大きなコレクタ電流)を流したり止めたりできます。小さな入力で大きな流れを制御する点がポイントです。
上のツールで▶ボタンを押すと、ベース入力をOFFからONに切り替えたとき、コレクタ電流が流れ出して出力が変化する流れを確認できます。
トランジスタには3本の端子があり、それぞれ役割が決まっています。
・ベース(B):スイッチを操作する制御の入口。ここに流す小さな電流が引き金になる
・コレクタ(C):制御される大きな電流が入ってくる入口
・エミッタ(E):電流が出ていく出口
スイッチとして使うときは、トランジスタを2つの極端な状態だけで動かします。
・遮断(しゃだん)状態:ベース電流を流さない。コレクタ〜エミッタ間は通れず、電流は流れない(OFF)
・飽和(ほうわ)状態:ベース電流を十分に流す。コレクタ〜エミッタ間が大きく開き、電流がたくさん流れる(ON)
この「遮断」か「飽和」かの2つだけを使うのがスイッチング動作です。中間の半開き状態(増幅に使う領域)はあえて通り過ぎ、はっきりとON/OFFを切り替えます。上のツールのコレクタ電流の表示で、ベースのON/OFFに連動して電流が切り替わる様子を確認できます。
コンピュータは、すべての情報を0と1の2種類で表します。トランジスタのスイッチング作用は、この0と1を作り出すのにぴったりです。電流が流れない状態を0、流れる状態を1、というように電気の状態を数字に対応させます。
トランジスタを組み合わせると、論理演算を行う回路(論理ゲート)を作れます。たとえば次のようなものです。
・NOT(否定):入力が0なら出力1、入力が1なら出力0と、逆にする回路
・AND(論理積):すべての入力が1のときだけ出力1
・OR(論理和):どれか1つでも入力が1なら出力1
トランジスタは機械的な接点を持たないので、1秒間に何億回もON/OFFを切り替えられ、しかも摩耗しません。CPU(=中央処理装置)の中には何十億個ものトランジスタが詰め込まれており、それらのON/OFFの組み合わせで計算が行われています。電子的なスイッチこそが、コンピュータの最も基本的な部品なのです。