小さなベース電流の変化で大きなコレクタ電流を制御し信号を増幅する作用。
トランジスタの増幅作用とは、小さな入力電流の変化に応じて、大きな出力電流を制御するはたらきのことです。トランジスタ(=信号を制御する小さな半導体部品)には、入力をうけとる「ベース」、電源につながる「コレクタ」、出口の「エミッタ」という3本の端子があります。
身近な例で考えると、蛇口(じゃぐち)のハンドルに似ています。ハンドルを動かす力(ベース電流)はわずかでよいのに、出てくる水の量(コレクタ電流)は大きく変わります。小さな力で大きな流れを操る、これが増幅の正体です。
上のツールで▶ボタンを押すと、小さなベース電流が入り、トランジスタが電源側の大きな電流を制御して、大きな出力信号が作り出される流れを確認できます。
増幅率とは、出力が入力の何倍になったかを表す数値です。直流での増幅率を hFE(直流電流増幅率)と呼び、次の式で求めます。
hFE = コレクタ電流 ÷ ベース電流
計算は次の手順で考えます。
・① 入力を測る:ベース電流(例 0.1mA)を確認する
・② 出力を測る:コレクタ電流(例 10mA)を確認する
・③ 割り算:10mA ÷ 0.1mA = 100倍が増幅率
hFE が大きいほど、小さな入力でより大きな出力を得られることを意味します。逆にいえば、出力を増やしたいときは増幅率の大きいトランジスタを選ぶ、という見方ができます。
増幅作用は、弱い信号を実用的な大きさに拡大するために幅広く使われています。代表例が アンプ(増幅器)です。
主な用途には次のものがあります。
・オーディオアンプ:マイクの弱い音声信号を大きくしてスピーカーを鳴らす
・無線・通信機器:アンテナで受けた微弱な電波を増幅して受信できる大きさにする
・センサー回路:センサーが出すわずかな信号を増幅して測定できるようにする
身近な例では、カラオケのマイクを思い浮かべると分かりやすいです。声そのものは小さくても、アンプで増幅されて大音量でスピーカーから流れます。波の形(声の内容)は変えずに、振れ幅(音量)だけを大きくしているのがポイントです。