パルス信号1発ごとに決まった角度だけ回転するモーター。
ステッピングモーター(ステップモーター)とは、パルス信号(=オン・オフを繰り返す電気信号)1発につき、決まった角度(ステップ角)だけ回転するモーターです。パルスを 1 発送れば 1 ステップ、10 発送れば 10 ステップ分、というように回転量がパルスの数で決まります。
身近な例で言うと、時計の秒針に似ています。秒針は「カチッ、カチッ」と 1 秒ごとに決まった角度(6°)だけ進みますね。ステッピングモーターも同じで、パルスという合図のたびに決まった角度だけ「カチッ」と動きます。だから「何発送ったか」を数えるだけで、回転センサーがなくても正確な位置が分かるのです。
上のツールでステップ角を選び、パルス数スライダーを動かしてみてください。パルスを増やすほどローター(回転する部分)が「ステップ角 × パルス数」だけ回り、累計の回転角がリアルタイムで更新されます。
回転量は次のシンプルな式で決まります。位置決め用のセンサーがなくても、送ったパルスの数だけで角度が確定するのが最大の特徴です。
回転角 = ステップ角 × パルス数
ここで覚えておきたい用語を整理します。
・パルス:モーターを 1 ステップ動かす合図となる電気信号
・ステップ角:1 パルスあたりの回転角度(例: 1.8°)
・1回転に必要なパルス数:360° ÷ ステップ角(例: 360 ÷ 1.8 = 200)
具体例: ステップ角 1.8° のモーターに 50 パルス送る
回転角 = 1.8° × 50 = 90°
1回転 = 360° ÷ 1.8° = 200パルス
→ 50パルスは 1/4回転(90°)
このように、パルスを数えるだけで正確に位置決めできる制御を オープンループ制御(=結果を確認せずに指令だけで動かす制御)と呼びます。回転を測るセンサーが不要なので、構成が単純で安価に正確な位置決めができます。
ステッピングモーターは「決まった量だけ、正確に動かしたい」場面で活躍します。安価に高精度な位置決めができるため、身の回りの多くの機器に使われています。
代表的な用途は以下のとおりです。
・プリンタ:用紙を 1 行ずつ正確に送る、ヘッドを左右に動かす
・3Dプリンタ・NC工作機械:ヘッドや刃物を指定座標へ正確に移動
・ロボットアーム:関節を狙った角度に止める
・スキャナ・カメラの自動焦点:レンズや読み取り部の微小な位置決め
一方で弱点もあります。
・脱調(だっちょう):負荷が大きすぎるとパルスに付いていけず、ズレたまま気づけない
・高速回転が苦手:高速になるとトルク(回す力)が落ちる
・常に電流が流れ発熱しやすい:止めている間も保持に電力を使う
基本となるのは「パルス数に比例して回転角が決まる」「回転角 = ステップ角 × パルス数」という関係と、サーボモーターとの違い(次ページ参照)です。