区間を放物線で近似して定積分の値を求める数値積分法
シンプソンの公式とは、定積分(=関数のグラフと x 軸で囲まれた面積)を、放物線で近似して数値的に計算する方法です。複雑な関数で「面積をきっちり式で求める」ことが難しいとき、コンピュータで近い値を得るために使います。
身近な例で言うと、でこぼこした土地の面積を測るのに似ています。土地を細かく区切り、各区画を「ゆるくカーブした形(放物線)」で近似して面積を出し、最後に全部足すと、全体のおよその面積が分かります。区切りを細かくするほど、本当の面積に近づきます。
計算式は次のとおりです(区間 [a, b] を 2 つに分けた最も基本の形)。
∫f(x)dx ≈ (h/3)(f(a) + 4f(中) + f(b))
上のツールで分割数 n のスライダーを動かすと、放物線の枚数が変わり、シンプソン近似値が真値(解析解)にどんどん近づいていくのが分かります。誤差の数字に注目してください。
シンプソンの公式のポイントは、関数を「3 つの点を通る放物線」で代用するところにあります。直線(1 次式)ではカーブを表せませんが、放物線(2 次式)なら曲がった部分にぴったり寄り添えるので、近似の精度が高くなります。
手順は次の通りです。
・区間を偶数個に等分:刻み幅を h = (b − a)/n とする(n は偶数)
・3 点ごとに放物線を当てる:両端と真ん中の 3 点 (f₀, f₁, f₂) を通る放物線を作る
・各放物線の面積を足す:1 枚分の面積は (h/3)(f₀ + 4f₁ + f₂)
「4」の意味:真ん中の点 f₁ の係数が 4 と大きいのは、放物線の面積を正しく出すための重み付けです。両端より中央を重視することで、ちょうど放物線の面積に一致します。区間全体ではこの重みが 1, 4, 2, 4, 2, …, 4, 1 と並びます。
例: ∫₀² x² dx(真値 = 8/3 ≈ 2.6667)
n=2, h=1: (1/3)(0 + 4×1 + 4) = 8/3 = 2.6667
→ 2次関数なので放物線で完全一致(誤差0)
数値積分には他にも方法があり、最もシンプルなのが台形公式です。台形公式は各区間を「直線(台形)」で近似します。仕組みは簡単ですが、曲線を直線で代用するため、カーブが強いところで誤差が出やすくなります。
一方シンプソンの公式は放物線で近似するため、同じ分割数でも台形公式よりずっと精度が高いのが特徴です。上のツールの「計算の内訳」で、両者の誤差を見比べてみてください。
| 台形公式 | シンプソンの公式 | |
|---|---|---|
| 近似の形 | 直線(台形) | 放物線(2次式) |
| 分割数の条件 | 任意 | 偶数(2点で1放物線) |
| 精度 | 低め | 高い(同じ n でより正確) |
| 正確に解ける式 | 1次まで | 3次まで(誤差0) |
まとめ:シンプソンの公式は「放物線で近似」「分割数は偶数」「係数は 1, 4, 2, 4, …, 4, 1」「台形公式より高精度」という特徴を持ちます。3 次式までなら誤差ゼロで積分できる点も、台形公式(1 次式まで)との大きな違いです。