客がランダムに到着し窓口1台で処理する、最も基本的な待ち行列モデル
M/M/1モデルとは、客がランダムに到着し、窓口(サーバ)1台で1人ずつ処理する、待ち行列理論(=混雑や行列の長さを数式で扱う理論)の中で最も基本的なモデルです。先に来た客から順に処理する「先着順(FIFO)」で動きます。
身近な例で言うと、銀行のATMやコンビニのレジが1台だけある状況です。客はいつ来るか分からずバラバラに到着し、窓口が空いていればすぐ処理され、ふさがっていれば後ろに並んで待ちます。上のツールで λ(到着の速さ)を上げると、待ち行列に並ぶ人がどんどん増えていく様子が見られます。
コンピュータのサーバへのリクエスト処理やプリンタの印刷ジョブなどは、このモデルに当てはめて待ち時間や行列の長さを計算できます。窓口が1台という単純な前提だからこそ、公式を使えば見通しよく求められます。
M/M/1モデルを動かす入力は2つだけです。
・到着率 λ(ラムダ):単位時間あたりに平均何人の客が来るか(例: 1分間に3人 → λ=3)
・サービス率 μ(ミュー):窓口が単位時間あたりに平均何人を処理できるか(例: 1分間に5人さばける → μ=5)
逆数を取ると時間として読めます。1/λ は「客が来る平均間隔」、1/μ は「1人を処理するのにかかる平均時間」です。λ=3 なら平均20秒に1人来て、μ=5 なら1人を平均12秒で処理する、という具合です。
ここで最重要なのが、両者から計算する利用率 ρ(ロー)= λ/μ です。
ρ = λ / μ
ρ は窓口が稼働している時間の割合を表し、必ず λ < μ(ρ < 1)でなければ系は安定しません。λ ≥ μ だと到着が処理に追いつかず、行列が無限に伸びてしまいます。だから上のツールの λ スライダーは μ 未満に制限されています。
待ち行列モデルは ケンドール記号(A/B/c の形式)で分類されます。M/M/1 という名前自体がこの記号で、3つの記号それぞれに意味があります。
| 記号 | 意味 | 説明 |
|---|---|---|
| 1番目: M | 到着の分布 | 客の到着間隔が指数分布(ランダム到着)に従う |
| 2番目: M | サービスの分布 | 処理時間が指数分布に従う |
| 3番目: 1 | 窓口の数 | サービスを行う窓口(サーバ)が1台 |
1番目と2番目の M は「Markovian(マルコフ的)」の頭文字で、到着間隔も処理時間も指数分布に従う=完全にランダムであることを表します。指数分布は「いつ次が起きるか予測できないランダムな現象」を表す確率分布のことです。
つまり M/M/1 =「ランダム到着・ランダム処理・窓口1台」と読めます。窓口が複数台なら M/M/3 のように最後の数字が変わります。「M/M/1」であれば、本ページの公式(ρ=λ/μ、Wq=ρ/(μ−λ)、W=1/(μ−λ))がそのまま使えます。