データに最もよく当てはまる直線(や曲線)を求めて傾向を分析する手法。
回帰分析(Regression Analysis)とは、ある変数(目的変数 y)を、別の変数(説明変数 x)から予測・説明するための統計手法です。データの背後にある関係を「数式(モデル)」として表現し、未知の x に対する y の予測や、x の変化が y に与える影響度の評価に使います。
身近な例で言うと、「広告費(x)からの売上(y)の予測」、「面積(x)からのマンション価格(y)の見積もり」、「気温(x)からのアイスクリーム売上(y)の推定」などが回帰分析の典型的な使い道です。相関係数が「2 変数の関連の強さ」を 1 つの数値で表すのに対し、回帰分析は「具体的な予測式」を作るのがゴールです。
最もシンプルなのが y = ax + b という直線でモデル化する単回帰です。与えられたデータから傾き a と切片 b を求め、予測値 ŷ を計算したり、残差や決定係数を読み取ったりします。
データに「最もよく当てはまる直線」と言っても、当てはまり方は無数に考えられます。最小二乗法(Least Squares Method)はそのなかから「残差の二乗和を最小にする直線」を選ぶ基準です。
残差とは、各データ点の実測値 y と直線が予測する値 ŷ = ax + b の縦方向の差です。残差をそのまま足すと正負が打ち消し合うので、二乗してから合計します。これが「残差二乗和 SSE」。
SSE = Σ(y − (ax + b))² → 最小にする a, b を選ぶ
微分して 0 になる条件を解くと、傾き a と切片 b は次の式で求まります(暗記推奨)。
a = Σ((x−x̄)(y−ȳ)) / Σ(x−x̄)²
b = ȳ − a × x̄
なぜ「二乗」なのか: ①正負を打ち消さずに「ズレの大きさ」を測れる、②微分しても式がきれいで解析的に解ける、③大きなズレほど大きく罰する(外れ値への感度を高める)、という 3 つの利点があります。これにより全データから見て公平に「真ん中を通る」直線が得られます。
決定係数 R²: 回帰直線がデータをどれくらいよく説明できているかを 0〜1 で表した指標。R² = 1 − SSE / SST(SST は y の全変動)。R² が 1 に近いほど直線でほぼ完璧に説明できているということ。単回帰では R² = r²(相関係数の二乗)になります。
回帰分析は、説明変数の数によって 2 種類に分かれます。
| 単回帰 | 重回帰 | |
|---|---|---|
| 説明変数の数 | 1 個(x) | 2 個以上(x₁, x₂, …) |
| モデル式 | y = ax + b | y = a₁x₁ + a₂x₂ + … + b |
| 図形 | 直線(2 次元) | 超平面(多次元、可視化困難) |
| 具体例 | 面積から家賃を予測 | 面積・築年数・駅距離から家賃を予測 |
重回帰のメリット: y を説明する要因が複数あるとき、各説明変数の影響度(係数 a₁, a₂, …)を個別に評価できます。例えばマンション価格を「面積だけ」で説明するより「面積+築年数+駅距離」のほうが現実をうまく捉えられ、予測精度も上がります。
重回帰の注意点:
・多重共線性(マルチコ): 説明変数同士の相関が強いと、係数が不安定になる
・過学習: 変数を増やしすぎると訓練データには合うが、新しいデータでは精度が落ちる
・説明変数の選択: AIC / BIC、ステップワイズ法、Lasso などで重要な変数を絞る
整理しておきたいポイント:
・「説明変数 1 個=単回帰、2 個以上=重回帰」という区別
・最小二乗法は単回帰でも重回帰でも同じ原理(残差二乗和を最小化)
・決定係数 R² はモデルの当てはまりの指標で 0〜1、1 に近いほど良い
・回帰直線は外れ値(極端な点)に引きずられやすい