複数の指で画面に触れて操作するタッチ入力方式。
マルチタッチとは、画面が複数の指の接触点を同時に認識できるタッチ入力方式のことです。「マルチ(複数)」の名のとおり、1点しか認識できないシングルタッチと違い、2本以上の指の位置や動きを一度に読み取れます。
身近な例で考えると、紙の写真を両手で広げる動作に似ています。両端を指でつまんで引っ張れば大きく見え、寄せれば小さく折りたためます。スマホで写真を2本指で拡大・縮小するのは、まさにこの感覚をそのまま画面に持ち込んだものです。
上の図解では、赤い丸が指の接触点、青い矢印が指の動く向きを表しています。マルチタッチでは、この接触点の「数」「位置」「動き方」の組み合わせで操作の意味が決まります。
マルチタッチで使う代表的な操作(ジェスチャ=指の動かし方)には、決まったパターンがあります。主なものを表にまとめます。
| ジェスチャ | 指の動き | 主な効果 |
|---|---|---|
| タップ | 1本指で軽く触れる | 選択・決定(クリック相当) |
| ダブルタップ | 素早く2回触れる | 拡大・実行 |
| ロングタップ | 長押しする | メニュー表示など |
| スワイプ | なぞって動かす | スクロール・移動 |
| フリック | 素早く払う | ページめくり |
| ピンチアウト | 2本指を広げる | 拡大 |
| ピンチイン | 2本指を狭める | 縮小 |
| 回転 | 2本指で回す | 画像などの回転 |
このうちピンチアウト・ピンチイン・回転は、2点を同時に認識できるマルチタッチならではの操作です。タップやスワイプは1本指でもできますが、ピンチは複数点の距離の変化を読み取って初めて成立します。
これらのジェスチャは多くのアプリで共通の意味になるよう統一されています。だから初めて使うアプリでも「2本指を広げれば拡大できそうだ」と直感的に操作できるのです。
マルチタッチは、いまやスマートフォンやタブレットの基本的な操作方法になっています。マウスやキーボードがなくても、指だけで快適に操作できるのはマルチタッチのおかげです。具体的には次のような場面で使われています。
・地図アプリ:ピンチで地図を拡大・縮小、スワイプで移動
・写真・ブラウザ:2本指で拡大、フリックで写真やページを切り替え
・ゲーム:複数の指で同時に複数のボタンを操作
・イラスト・お絵かき:2本指で回転や取り消しなどの操作を割り当て
マルチタッチが普及したことで、ボタンの少ない大きな画面1枚でさまざまな操作ができるようになりました。これが、物理キーがほとんどない今のスマートフォンの形を支えています。
指の動きという直感的なジェスチャで操作できるため、説明書を読まなくても使い始められるのが大きな魅力です。これはGUIの「見れば分かる」よさを、さらに体で覚えられる形に進化させたものといえます。