物体の回転の速さ(角速度)を検出するセンサ
ジャイロセンサ(角速度センサ)とは、物体の回転の速さ(角速度)を検出するセンサのことです。角速度とは「1 秒あたりに何度回ったか」を表す量で、単位は度/秒(deg/s)などで表されます。物がどれだけ速く向きを変えているかを測る、と考えると分かりやすいです。
身近な例で言うと、イスに座ってクルッと回転する場面を思い浮かべてください。目をつぶっていても「今、自分は速く回っている」「ゆっくり回っている」と体で感じられます。これは人間の三半規管(耳の奥にある回転を感じる器官)が角速度を捉えているからです。ジャイロセンサは、これを電子部品で実現したものといえます。
角速度を時間とともに足し合わせていけば、「合計でどれだけ向きが変わったか(角度)」も求められます。これにより機器の傾きや向きを追跡でき、ドローンの姿勢制御やスマホの手ブレ補正などに使われます。上の図解で、回転を加えたときに振動おもりへ垂直方向の力が生じる様子を確認してください。
スマホなどに入っているジャイロセンサも、加速度センサと同じMEMS(微小電気機械システム)でできており、振動式ジャイロと呼ばれる方式が一般的です。鍵となるのはコリオリ力(コリオリのちから)という見かけの力です。
検出の流れは次のとおりです。
・① 常に振動させる:内部の小さなおもりを、決まった方向に絶えず振動させておく
・② 回転するとコリオリ力が発生:センサ全体が回転すると、振動している物体には振動方向と垂直な向きに力(コリオリ力)がかかる。この力は回転が速いほど大きい
・③ 変位を測って角速度に:コリオリ力でおもりが垂直方向にずれる量を、加速度センサと同じく静電容量の変化として読み取り、角速度に換算する
コリオリ力を身近に感じる例が回転するメリーゴーラウンドの上でまっすぐ歩こうとすると、横に押しやられる現象です。まっすぐ進んでいるつもりでも、足元が回っているため進路が曲げられます。ジャイロセンサは、わざと振動させたおもりにこの「横向きの力」を起こさせ、その大きさから回転の速さを逆算しているのです。
加速度センサとジャイロセンサは混同しやすいですが、測る動きの種類がまったく違います。
| 加速度センサ | ジャイロセンサ | |
|---|---|---|
| 測るもの | 直線的な速度の変化(加速度) | 回転の速さ(角速度) |
| 動きの種類 | 並進(まっすぐ進む) | 回転(向きを変える) |
| 重力 | 検出できる(傾き判定に利用) | 検出できない(回転だけ) |
| 典型用途 | 歩数計、エアバッグ、画面回転 | 姿勢制御、手ブレ補正、ナビ |
覚え方は「加速度センサは直進、ジャイロは回転」です。実際の機器では両方を組み合わせて使うことが多く、加速度センサで重力の向き(傾き)を、ジャイロで素早い回転を捉え、互いの弱点を補い合います。
身近な例では、スマホのゲームでハンドルのように傾けて操作するとき、ゆっくりした傾き(重力の向き)は加速度センサが、素早く振る回転はジャイロセンサが担当しています。さらに地磁気センサ(方位)も加えた 3 種類のセンサを組み合わせると、機器の向きと動きをかなり正確に把握できます。