外乱を事前に予測して先回りで制御信号を補正する方式
フィードフォワード制御とは、出力に影響を与える外乱を事前に予測し、その影響が出る前に先回りで制御信号(操作量)を補正する制御方式のことです。フィードフォワード(feedforward)は「前向きに送る」という意味で、結果を待たずに先手を打つのが特徴です。
ここで外乱(がいらん)とは、「出力を目標値からずらそうとする外部の乱れ」のことです。たとえばエアコンなら、急に窓を開けて外気が入ってくることや、人が大勢入って室温が上がることが外乱にあたります。
身近な例で考えると、天気予報を見て先に上着を用意するのに似ています。「明日は寒くなる(外乱の予測)」と分かれば、寒さを感じてから(結果を見てから)あわてるのではなく、前もって厚着をして備えられます。上の図①が、まさにこの「先回り」の流れを表しています。
フィードフォワード制御の心臓部は、「外乱を測って、それが出力にどれだけ影響するかを計算し、その分を打ち消す」という流れです。上の図①の上半分がこの仕組みを示しています。
具体的な手順は次のとおりです。
・外乱を検知:外乱センサが外気温などの乱れの大きさを測る
・影響を予測:FF 制御器が「この外乱なら出力がこれだけ乱れる」と計算する
・補正量を決定:その乱れを打ち消すための補正量を求める
・先回りで操作:基本の操作量に補正量を足し込み、外乱が出力を乱す前に手を打つ
ポイントは、フィードフォワード制御が出力(結果)を一切見ていないことです。あくまで「外乱の大きさ」と「外乱が出力に与える影響のモデル(予測式)」だけを頼りに補正します。そのため外乱を正確に測れて、影響を正しく予測できるときに大きな効果を発揮します。逆に、予測式が実際とずれていたり、予測できない外乱が来たりすると、補正しきれず出力がずれてしまいます。
フィードフォワード制御とフィードバック制御は、外乱への対応のタイミングが正反対です。上の図②に並べて示したとおり、片方は「事前」、もう片方は「事後」です。
| 項目 | フィードフォワード制御 | フィードバック制御 |
|---|---|---|
| 対応のタイミング | 事前(先回り) | 事後(ズレてから) |
| 出力の測定 | しない | する(センサで測る) |
| 頼りにするもの | 外乱の予測と影響モデル | 出力と目標値の差(偏差) |
| 反応の速さ | 速い | 遅れがち |
| 弱点 | 予測できない外乱に弱い | ズレが起きるまで補正できない |
それぞれに長所と短所があるため、実際の機器では両方を組み合わせて使うことがよくあります。
・フィードフォワードで予測できる外乱に先回り対応して反応を速くする
・フィードバックで予測しきれなかった残りのズレを後から確実に直す
両者は、「フィードフォワード = 外乱を予測して事前に補正(出力は見ない)」「フィードバック = 出力を測り目標値とのズレを事後に補正」という対比で整理できます。「先回りか、後追いか」で見分けるとよいでしょう。