ある試行で得られる値の平均的な見込み(各値×確率の合計)。
期待値とは、ある確率的な試行を たくさん繰り返したときに得られる値の平均のことです。記号は E(X)(Expected Value の頭文字)。1 回の試行で必ずその値が出るわけではありませんが、長期的にはこの値に収束します。
身近な例で言うと、サイコロを 1 回振って出た目をそのまま得るとき、期待値は 1×1/6 + 2×1/6 + 3×1/6 + 4×1/6 + 5×1/6 + 6×1/6 = 3.5 です。1 回振って 3.5 という出目はありませんが、1000 回振って平均を取れば 3.5 にとても近い値になります。
上のシミュレータでプリセットを切り替えて、シミュレーション回数を増やしてみてください。試行回数が多くなるほど、実測平均(青)と期待値(赤)が一致していきます。これは大数の法則によるものです。
E(X) = Σ (値ᵢ × 確率ᵢ) = x₁p₁ + x₂p₂ + … + xₙpₙ
公式の各部分には次のような意味があります。
・値 xᵢ:起こりうる結果の値(賞金、得点、コストなど。負の値もOK)
・確率 pᵢ:その値が出る確率(0〜1、合計は 1)
・Σ(シグマ):すべての結果について合計を取る
直感的に言うと、「起こる確率の重みで値を平均した」のが期待値です。確率が高い結果ほど、その値が平均に強く反映されます。
具体例: 賞金くじ(1等10000円1%、2等1000円10%、ハズレ89%)
E = 10000 × 0.01 + 1000 × 0.10 + 0 × 0.89
= 100 + 100 + 0
= 200 円
つまりこのくじは 1 回引いて平均 200 円もらえる計算。200 円より安い参加費なら期待値プラスで「やる価値あり」、高ければマイナスです。
期待値は「不確実性のある選択肢を金額や得点に換算して比較する」道具として、ビジネス・投資・ゲーム設計などで広く使われます。意思決定の場面で「どちらが得か?」を数字で判断できるようになります。
活用例1: プロジェクトの収益見込み
新規開発の成功確率 30% で 1 億円の利益、失敗 70% で 2000 万円の損失なら、1 億 × 0.3 + (−2000 万) × 0.7 = 1600 万円。期待値プラスなのでやる価値があると判断できます。
活用例2: 保険・宝くじ
保険会社や宝くじの胴元は、期待値が 必ず自分側にプラスになるよう設計しています。たとえば日本の宝くじの期待値は購入額の約 47%(半分以下)。長期的には買えば買うほど損をする計算です。
注意点: 期待値だけで判断できないケース
・1 発勝負では平均に収束する前にゲームが終わる
・致命的損失(破産する可能性)がある場合は別途リスク評価が必要
・分散(ばらつき)が大きいと結果のブレも大きい