ある事象 A が起こった条件のもとで、別の事象 B が起こる確率。
条件付き確率とは、「ある事象 A がすでに起こったとわかっている」という条件のもとで、別の事象 B が起こる確率のことです。記号は P(B|A)(読み方は「A が与えられたときの B の確率」)。縦線「|」は「〜のもとで」と読みます。
身近な例で考えると、「今日は雨が降っている」という条件のもとで「傘を持っている人の割合」を考えるのが条件付き確率です。雨の日と晴れの日では傘を持つ確率がまったく違うので、条件によって確率が変わるのは自然なことです。
条件が付くと、考える 「分母」が全体集合から条件 A の範囲に絞られるのがポイント。上のベン図で言うと、青い円 A の中だけを見て、その中で B(オレンジ)と重なっている部分の割合を求めます。
P(B|A) = P(A∩B) / P(A)
公式は「分母を条件 A に置き換える」と覚えると直感的です。
・分子 P(A∩B):A も B も両方起こる確率(ベン図の重なり部分の面積)
・分母 P(A):A が起こる確率(条件として置く側)
・商 P(B|A):A の中で B も起こっている割合
具体例: クラス 100 人のうち、サッカー部 30 人、そのうち走るのも好きな人 20 人
「サッカー部に入っている」を A、「走るのが好き」を B とすると、
・P(A) = 30/100 = 0.3
・P(A∩B) = 20/100 = 0.2
・P(B|A) = 0.2 / 0.3 ≒ 0.67(67%)
独立な場合の特例: 事象 A と B が独立なら、A が起きても B の確率は変わらないので、P(B|A) = P(B)。このとき P(A∩B) = P(A)×P(B) も成り立ちます。コインを 2 回投げたときの「1 回目表」と「2 回目表」が典型例です。
逆向きの条件付き確率に注意: P(B|A) と P(A|B) は一般に違う値になります。たとえば「雨が降っている|傘を持っている」と「傘を持っている|雨が降っている」は、雨の頻度と傘の所持率が違うので、まったく異なる確率になります。混同すると重大な誤判断につながるので注意しましょう。
条件付き確率の式を変形すると、有名な ベイズの定理が導けます。これは「結果から原因の確率を逆算する」ための強力な道具です。
P(A|B) = P(B|A) × P(A) / P(B)
この式は「P(B|A) は分かっているが、本当に知りたいのは P(A|B)」というときに使います。
・医療検査: 「病気の人が陽性になる確率(感度)」は分かるが、本当に知りたいのは「陽性のとき本当に病気である確率」
・スパムフィルタ: 「スパムが特定単語を含む確率」は分かるが、知りたいのは「その単語を含むメールがスパムである確率」
・機械学習・統計推論: 観測データから「真のパラメータ」を推定する基礎理論
導出:定義から P(A∩B) = P(B|A)P(A) = P(A|B)P(B) が成り立ちます。両辺を P(B) で割れば P(A|B) = P(B|A)P(A) / P(B)。意味としては「事前確率 P(A) を、観測結果 B によって P(A|B) に更新する」仕組みです。
表(クロス表)から P(A∩B), P(A), P(B) を読み取って P(B|A) を計算する場面では、公式と表の読み方をセットで理解しておくと機械的に求められます。