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ベイズの定理(Bayes' Theorem)

結果から原因の確率を逆算する公式(事前確率 → 事後確率の更新)。

INTERACTIVE VISUALIZATION
母集団 100 人での内訳
事前確率 P(A)
1.00%
陽性となる確率 P(B)
5.94%
P(A|陽性) ★ 事後確率
16.67%
P(A|陰性)
0.011%
事前確率 P(A) — 有病率1.0%
母集団のうち、実際に病気にかかっている割合
感度 P(B|A)99.0%
病気の人が「陽性」と正しく判定される確率
特異度 P(¬B|¬A)95.0%
健康な人が「陰性」と正しく判定される確率
プリセット
100人の内訳(人を四角で表現)
1
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99
100
病気で陽性(真陽性)
1
病気で陰性(偽陰性)
0
健康で陽性(偽陽性)
5
健康で陰性(真陰性)
94
計算プロセス
P(陽性) = P(陽性|病気)×P(病気) + P(陽性|健康)×P(健康)
    = 0.990 × 0.010 + 0.050 × 0.990
    = 0.0594
P(病気|陽性) = P(陽性|病気)×P(病気) / P(陽性)
      = 0.990 × 0.010 / 0.0594
      = 0.166716.67%

陽性と判定された人は 1 人 + 5 人 = 6 人。そのうち本当に病気なのは 1 人なので、16.7%。これがベイズの定理が示す「事後確率」です。

解説

📌
ベイズの定理とは

P(A|B) = P(B|A) × P(A) / P(B)

ベイズの定理は、「結果(B)が観測されたとき、原因(A)が本当に起こっていた確率」を逆算する公式です。1763 年にトーマス・ベイズによって示され、現代では機械学習・医療診断・スパムフィルタ・統計推論など幅広い分野で使われています。

直感的に言うと、「あらかじめ持っていた予想(事前確率)を、新しい証拠(観測結果)に応じて更新する」のがベイズの定理の本質です。たとえば「この街の犯罪率は 1%」と思っていたところに、「現場から犯人と特徴が一致する人が見つかった」という証拠が加わると、その人が犯人である確率は更新されます。

公式の各要素は次のように呼ばれます。
P(A):事前確率(証拠を見る前の予想)
P(B|A):尤度(原因 A のもとで結果 B が起こる確率)
P(A|B):事後確率(結果 B を見たあとに更新された A の確率)
P(B):周辺確率(証拠 B 自体の起こりやすさ、正規化定数)

📐
事前確率と事後確率

ベイズの定理の使いどころは、「事前確率を事後確率に更新する」という考え方です。新しい情報(観測・証拠)が得られたら、それを取り込んで確率を見直す。これがベイズ的思考の核心です。

事前確率 P(A) → 事後確率 P(A|B) への更新の流れ:
・(1) 事前確率を設定する(過去の統計や常識から)
・(2) 観測を行う(検査結果、新しいデータなど)
・(3) ベイズの定理で確率を更新する
・(4) 更新された確率(事後確率)が、次の判断の新しい事前確率になる

具体例: スパムメール判定
過去の統計から「メール全体の 30% がスパム」(事前確率 30%) と知っているとします。新たに届いたメールに「無料」という単語が含まれていた場合、スパムの 80% にこの単語が含まれ、通常メールの 5% にも含まれるとすると、ベイズの定理で計算すると 事後確率は約 87%。最初は 30% だった見込みが、たった 1 つの単語で 87% まで上がるのです。

上のシミュレータで 「事前確率(有病率)」のスライダーを動かしてみてください。同じ精度の検査でも、有病率が変わると事後確率が劇的に変わるのがわかります。これがベイズ的判断の重要なポイントです。

⚖️
検査の精度の見方

医療検査やセキュリティ警報などで、「精度 99%」と聞くと、つい「ほぼ確実」と思いがちですが、ベイズの定理を使うと意外な結果が見えてきます。

有名な落とし穴: 「有病率 1%、感度 99%、特異度 99%」の検査で陽性が出たら?
100 人いれば、病気 1 人(陽性 0.99 人)、健康 99 人(偽陽性 0.99 人)。陽性者の半分は実際には健康なのです! 上のシミュレータの「まれな病気」プリセットを試してみてください。

感度と特異度の意味:
感度 = P(陽性|病気):病気の人を「陽性」と判定する確率(見落とさない力)
特異度 = P(陰性|健康):健康な人を「陰性」と判定する確率(誤検知しない力)
偽陽性率 = 1 − 特異度:健康なのに陽性と出る誤りの率

事後確率が高くなる条件:
事前確率(有病率)が高い → 陽性が出ても本当に病気である可能性が高い
特異度が高い(偽陽性が少ない)→ ノイズが減る
感度が高い(病気を見逃さない)→ 真陽性が多くなる

「精密検査」「二段階検査」のように検査を 2 回行う場合もあります。1 回目の事後確率を 2 回目の事前確率として再度ベイズの定理を適用すると、確率がさらに更新されます。これがベイズ的更新の連鎖です。

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