特定の用途専用に設計・製造されるカスタム集積回路。
ASIC(エーシック、Application Specific Integrated Circuit = 特定用途向け集積回路)とは、ある1つの用途のためだけに専用設計・製造された集積回路(IC = たくさんの電子回路を1枚のチップに詰め込んだ部品)のことです。
身近な例で考えると、専用の調理器具に似ています。何でも切れる万能包丁(汎用IC)に対して、リンゴの皮むき専用器のような道具がASICです。やれることは1つだけですが、その作業に関しては速く・無駄なくこなせます。家電製品やゲーム機、暗号通貨のマイニング装置など、決まった処理を大量にこなす機器の中で活躍しています。
上の図解では、左の汎用ICが多機能ゆえに未使用の回路を抱えるのに対し、右のASICは必要な機能だけを詰め込んでいる様子を示しています。
必要な機能だけに絞って回路を作るため、余計な部分がありません。これにより次のような利点が生まれます。
・小型化:使わない回路を載せないので、チップを小さくできる
・高速処理:その処理に最適化された回路なので、汎用部品より速い
・低消費電力:無駄な回路が動かないため、電力消費を抑えられる
・量産時に低コスト:同じものを大量に作れば、1個あたりの単価が下がる
一方で弱点もあります。設計とマスク(製造に使う型)の作成に多額の初期費用と長い開発期間がかかる点です。少量しか作らないと1個あたりが割高になるため、ASICは大量生産する製品でこそ真価を発揮します。たとえば、専用の型を作って大量に焼く「たい焼き機」のようなもので、たくさん焼くほど1個あたりが安くなるイメージです。
ASICとよく比較されるのがFPGA(エフピージーエー = 製造後に内部の論理を書き換えられる集積回路)です。一番大きな違いは、製造後に機能を変更できるかどうかです。
| 項目 | ASIC | FPGA |
|---|---|---|
| 製造後の変更 | 不可(固定) | 可能(書き換え自由) |
| 処理速度・電力 | 速い・低消費電力 | ASICよりやや劣る |
| 初期費用 | 高い | 低い |
| 量産単価 | 安い | 高め |
| 向く場面 | 大量生産の確定仕様 | 少量・試作・仕様変更 |
言い換えると、ASICは「型に流し込んで固めた完成品」、FPGAは「何度でも組み替えられるブロック」のような関係です。仕様がしっかり固まっていて大量に作る製品にはASIC、まだ仕様が変わりそうな試作段階や少量生産にはFPGAが向いています。
Q1ASIC の説明として最も適切なものはどれか。
Q2特定用途専用に設計された ASIC の利点として適切でないものはどれか。
Q3ASIC と FPGA を比較した記述のうち、正しいものはどれか。