交流電源で動き、丈夫で大型機器に使われるモーター。
ACモーター(交流モーター)とは、交流電源(AC=電流の向きが周期的に入れ替わる電流。家庭のコンセントの電気)で回転するモーターです。コンセントから直接電気をとって動かせるのが特徴です。
身近な例で言うと、洗濯機・冷蔵庫・換気扇・エアコンの室外機など、家庭やビル・工場でコンセント(または電源線)につないで使う多くの機器のモーターがACモーターです。
ACモーターの基本部品は、外側で磁界をつくる固定子(ステータ)と、内側で回る回転子(ロータ)です。DCモーターと違ってブラシや整流子を持たないタイプ(誘導モーター)が多く、その分丈夫で長持ちします。上の図解①で構造を確認してください。
ACモーターは大きく誘導モーターと同期モーターの2種類に分かれます。どちらも固定子がつくる回転磁界(=ぐるぐる回る磁石のような磁場)を利用しますが、回転子の回り方が異なります。
両者の違いは次のとおりです。
・誘導モーター:回転子に磁石を持たず、電磁誘導(磁界が動くと導体に電流が生じる現象)で回転子に電流を流して回す。磁界より少し遅れて回る
・同期モーター:回転子に磁石を使い、回転磁界と同じ速さでぴったり回る
誘導モーターで生じる「回転磁界の速さ」と「回転子の速さ」の差をすべりと呼びます。回転子が磁界に追いつくとすべりがゼロになり電流が流れなくなるため、誘導モーターでは必ず少しだけ遅れて回ります。これに対し同期モーターはすべりがなく、回転速度が電源の周波数で正確に決まるので、時計や精密機器に向いています。
身近な例えにすると、誘導モーターは「前を走るランナーを追いかけるが、少し離されてついていく」イメージ、同期モーターは「先導車にロープでつながれて同じ速さで進む」イメージです。
ACモーターとDCモーターは、使う電源の種類が根本的に違い、それが構造や得意分野の違いにつながります。上の表③とあわせて整理しましょう。
| 観点 | ACモーター | DCモーター |
|---|---|---|
| 電源 | 交流(コンセント) | 直流(電池・バッテリー) |
| ブラシ | 不要(摩耗しない) | 必要(摩耗・交換あり) |
| 寿命・保守 | 長寿命・メンテ少 | ブラシ交換が必要 |
| 速度調整 | 不得意(インバータが必要) | 得意(電圧で簡単) |
| 向いている用途 | 大型・連続運転・産業機器 | 小型・精密・移動体 |
まとめると、ACモーターはコンセントの交流でそのまま動き、ブラシがなく丈夫なので、工場の動力やポンプ・送風機など長時間連続で回す大型機器に向くのが特徴です。一方、DCモーターは電池で動かせて速度調整が簡単なので、おもちゃや車載部品などに向きます。
なお、ACモーターは元々速度を変えにくいのですが、インバータ(=交流の周波数を変える装置)を使えば回転速度を自在に調整できます。エアコンの「インバータ制御」はこの仕組みです。