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回線交換(Circuit Switching)

通信前に専用の経路を確保してからデータを送る通信方式

INTERACTIVE VISUALIZATION
専用回線
データ転送
パケット交換
交換機
方式
回線交換
Circuit Switching
ネットワーク状態
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待機状態
回線状態
待機
待機
進捗
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待機状態
シナリオ
送信元から受信先まで専用回線を確保し、データを転送して回線を解放する一連の流れです
ステップ1 / 8
自動再生で回線交換の流れを順番に確認できます
回線交換は、通信開始前に送信元から受信先までの専用経路(回線)を確保してからデータを送る通信方式です。
従来の電話網(PSTN)がこの方式で動作しています。電話をかけると「ツー...ツー...」と呼び出し音が鳴る間に、交換機が専用回線を確保しています。
ネットワーク状態
回線状態待機
待機中
フェーズidle
待機中
解説

📌
回線交換とは

回線交換は、通信開始前に送信元から受信先までの専用経路を確保し、通信中はその経路を占有する方式です。確保された回線は他の通信に一切使われないため、帯域と遅延が一定に保たれます。身近な例で言えば「電話」がまさに回線交換です。ダイヤルすると交換機が専用回線を確保し、「ツー...ツー...」という呼び出し音が鳴る間に経路がセットアップされています。電話がつながった後は、あなたと相手の間に専用の通信路が確保され、会話の品質が安定します。電話を切ると、その回線は解放されて他の人が使えるようになります。

回線確立 (送信元 → 交換機 → 受信先まで専用パスを確保)
データ転送 (確保した専用回線でデータを送信)
回線解放 (通信終了後、専用回線を解放)

回線交換の最大の特徴は品質の安定性です。専用回線が確保されているため、途中でルーティング判断が不要で、遅延が極めて安定しています。パケット交換のように到着順序がバラバラになることもありません。一方で、データを送っていない間も回線を占有し続けるため、帯域利用効率は低くなります。上のツールで「回線交換の仕組み」シナリオを再生すると、回線確立→データ転送→回線解放の3フェーズが順番に確認できます。各交換機で回線が確保される過程に注目してください。

📌
特徴

  • 🔒専用回線確保通信開始前に送信元から受信先までの完全な経路を確保します。この経路は通信が終了するまで他の通信に使われることはありません。経路上の各交換機が回線を予約し、帯域を100%保証します。電話をかけたとき、回線がつながるまでの時間がこの回線確立にかかるオーバーヘッドです。
  • 📊品質保証(QoS)専用回線のため、帯域と遅延が一定に保たれます。パケット交換のようにネットワーク混雑の影響を受けることがなく、リアルタイム通信(音声通話、ビデオ会議)に適しています。ジッター(遅延のゆらぎ)もほぼゼロです。
  • ⚠️回線占有(効率低下)通信していない時間(無音区間など)も回線を占有し続けるため、帯域利用効率が低くなります。電話の会話では実際にデータが流れているのは全体の35〜40%程度と言われており、残りの時間は回線が無駄に占有されています。パケット交換ではこの空き時間を他の通信に使えるため、効率が圧倒的に高くなります。
  • 🔄3フェーズ(確立/転送/解放)回線交換は「回線確立→データ転送→回線解放」の3フェーズで構成されます。回線確立フェーズでは各交換機が順番に回線を予約するため、通信開始前にオーバーヘッドが発生します。データ転送フェーズでは経路が固定されているためルーティング判断が不要で高速です。回線解放フェーズでは確保していたリソースを返却します。

📌
ユースケース

📞 固定電話(PSTN)
公衆交換電話網(PSTN: Public Switched Telephone Network)は回線交換の代表例です。電話をかけるとダイヤルした番号に基づいて交換機が順番に回線を確保し、通話中はその回線が専用に使われます。通話品質が安定する代わりに、同時通話数に上限があります。
🔗 ISDN
ISDN(Integrated Services Digital Network)は回線交換をデジタル化した技術です。64kbpsのBチャンネルで音声やデータを、16kbpsのDチャンネルで制御信号を伝送します。アナログ電話よりも高品質で、複数チャンネルを束ねることで帯域を増やせます。
💰 金融専用回線
証券取引所と金融機関の間では、取引データの低遅延・高信頼性伝送のために専用回線が使われます。マイクロ秒単位の遅延が取引結果に影響するため、パケット交換のような可変遅延は許容できません。東京証券取引所のarrownetが代表的な例です。
📡 5Gネットワークスライシング
5Gのネットワークスライシングは、物理的な回線ではなく仮想的に専用ネットワークを構築する技術です。回線交換の「専用経路確保」という概念をソフトウェアで実現し、自動運転車や遠隔手術など超低遅延が求められる用途に帯域と遅延を保証します。

📌
用語解説

回線(Circuit)
= 専用通信経路
送信元から受信先までの間に確保される専用の通信経路です。物理的な銅線や光ファイバーの一部が通信中に占有され、他のユーザーは使用できません。回線が確保されると、データは常に同じ経路を通るため、遅延が安定し、到着順序が保証されます。
SRCSWDST
交換機(Switch)
= 回線接続装置
入力回線と出力回線を接続し、通信経路を確立する装置です。電話網では電話交換機がダイヤルされた番号に基づいて回線を接続します。初期は人間のオペレータが手動で接続していましたが、現在は電子交換機が自動で処理します。
Switch交換機
QoS(Quality of Service)
= サービス品質
ネットワーク上の通信品質を保証する仕組みです。回線交換では専用回線の確保によりQoSが自然に保証されます。帯域、遅延、ジッター(遅延のゆらぎ)、パケットロス率などの指標で品質を評価します。パケット交換でQoSを実現するにはDiffServやIntServなどの追加メカニズムが必要です。
QoS帯域 / 遅延 / ジッター
PSTN
= 公衆交換電話網
Public Switched Telephone Network の略で、世界中の電話網を構成するネットワークです。回線交換方式で動作し、電話をかけると交換機が順番に回線を接続して通話路を確保します。近年はIP電話(VoIP)への移行が進んでいますが、固定電話網の基盤として今も重要なインフラです。
📞PSTN📞
帯域保証
= Bandwidth Guarantee
回線交換では、確保された回線の帯域が100%その通信に割り当てられます。他の通信による帯域の圧迫がないため、常に一定の速度でデータを送信できます。ただし、データを送っていない時間も帯域が占有されるため、効率は低下します。
100% 確保他の通信は使用不可
仮想回線
= Virtual Circuit
物理的に回線を占有するのではなく、論理的に専用経路を確保する方式です。ATM(Asynchronous Transfer Mode)やMPLSのラベルスイッチングがこの概念を使います。回線交換の品質保証とパケット交換の効率性を両立させようとするアプローチです。5Gのネットワークスライシングも仮想回線の発展形と言えます。
Virtual Circuit 1Virtual Circuit 2

📌
回線交換の手順

回線交換の通信は3つのフェーズで構成されています。

1
回線確立(Circuit Setup)
送信元が通信先を指定すると、中継交換機が順番に回線を予約していきます。送信元→交換機1→交換機2→受信先と、各ノード間のリンクが専用に確保されます。すべての交換機で回線が確保されるまで、データ転送は開始できません。この回線確立にかかる時間が回線交換のオーバーヘッドです。
2
データ転送(Data Transfer)
専用回線が確立されると、データ転送が始まります。経路が固定されているため、パケットヘッダーによるルーティング判断が不要で、極めて低遅延かつ安定した転送が可能です。音声通話では64kbpsの帯域が確保され、遅延は数ミリ秒に抑えられます。
3
回線解放(Circuit Release)
通信が終了すると、確保していた回線を解放します。各交換機が予約を解除し、回線は他の通信に使えるようになります。電話を切る操作がこのフェーズに対応します。解放されない回線はリソースの無駄遣いになるため、適切な解放が重要です。
回線確立データ転送回線解放3フェーズで通信を完結

📌
回線交換 vs パケット交換

回線交換
利点
  • +帯域・遅延が一定で品質保証(QoS)が容易
  • +ジッターがほぼゼロでリアルタイム通信に最適
  • +到着順序が保証され、再組立が不要
  • +ルーティング判断不要で低遅延
欠点
  • -通信しない間も回線を占有(帯域利用効率が低い)
  • -回線確立に時間がかかる(セットアップ遅延)
  • -障害時に回線全体が断絶(耐障害性が低い)
  • -同時接続数に物理的な上限がある
パケット交換
利点
  • +統計的多重化により帯域利用効率が圧倒的に高い
  • +回線確立不要で即座にデータ送信可能
  • +障害時に別ルートで迂回可能(耐障害性が高い)
  • +同時接続数に理論的な上限がない
欠点
  • -遅延が可変でジッターが発生する
  • -パケットロスの可能性がある
  • -到着順序が保証されず再組立が必要
  • -QoS保証には追加メカニズムが必要
上のツールで「パケット交換との比較」シナリオを選択すると、同じデータを両方式で送信したときの動作の違いが確認できます。回線確立のオーバーヘッドと転送の安定性のトレードオフに注目してください。

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