正解ラベルなしのデータから構造やパターンを見つける手法
教師なし学習(Unsupervised Learning)とは、正解ラベルのないデータから、データそのものに潜んでいる構造やパターンをコンピュータが自動的に見つけ出す手法です。「教師(=正解)」がないので「教師なし」と呼ばれます。
身近な例で考えると、たくさんの本棚の本を「なんとなく似たジャンルごとに」自分で仕分けする作業に似ています。最初から「これは小説」「これは図鑑」というラベルが貼ってあるわけではなく、表紙やサイズ・内容の雰囲気が近いもの同士を集めて山を作っていきます。教師なし学習も、答えを教わらずに「似ているデータをまとめる」ことで、隠れたグループを見つけます。
上のツールで▶ボタンを押すと、最初は灰色(未分類)だった点が、重心(✕印)に引き寄せられながら少しずつ色分けされ、最後に3つのグループに自動で分かれていく様子が見られます。代表的な手法であるk-means(k平均法)の動きを表しています。
クラスタリング(clustering)とは、似たデータ同士を「クラスタ(かたまり・グループ)」にまとめる教師なし学習の代表タスクです。「似ている=距離が近い」と考え、近いもの同士を同じグループにします。
上のツールで使っている k-means(k平均法) は、次の手順を繰り返すシンプルなアルゴリズムです。
・① 重心を置く:分けたいグループ数 k を決め、仮の中心点(重心・セントロイド)を k 個ランダムに配置する
・② 割り当て:各データ点を「最も近い重心」のグループに割り当てる
・③ 重心を更新:各グループの点の平均位置へ重心を動かす
・④ 繰り返し:②③を、重心が動かなくなる(収束する)まで繰り返す
ポイントは、「グループ数 k は人間が事前に決める」ことです。k=3 にすれば3グループ、k=5 にすれば5グループに分かれます。また、できあがったグループに「優良顧客」「新規客」といった意味づけは後から人間が解釈します。コンピュータは「似ているからまとめた」だけで、グループの名前までは付けてくれません。
活用例としては、顧客のグループ分け(マーケティング)、購買データからの商品のレコメンド、似た文書の自動グルーピングなどがあります。これらは「データマイニング」とも深く関わる分野です。
教師あり学習と教師なし学習の最大の違いは「正解ラベルがあるかどうか」の一点です。
| 項目 | 教師あり学習 | 教師なし学習 |
|---|---|---|
| 正解ラベル | 必要(あり) | 不要(なし) |
| 目的 | 正解を予測する | 構造・グループを発見 |
| 代表タスク | 分類・回帰 | クラスタリング・次元削減 |
| 例 | 迷惑メール判定・家賃予測 | 顧客のグループ分け |
整理すると、教師あり学習は「答えを教えてもらって、新しいデータの答えを当てる」のに対し、教師なし学習は「答えなしで、データの中の似た者同士を見つける」という違いがあります。
実務では「ラベルを用意できるか」で使い分けます。人手でラベルを付けられるなら教師あり学習で高い精度を狙え、ラベルを付けるのが難しい大量データなら教師なし学習でまず傾向をつかむ、という流れです。なお、答えではなく「報酬」を手がかりに学ぶ強化学習は、この2つとはまた別の第3の分類になります。