振幅と位相を組み合わせて一度に多くのビットを送る変調方式
QAM(Quadrature Amplitude Modulation=直交振幅変調)とは、振幅(波の高さ)と位相(波のタイミング)の両方を同時に変化させることで、一度の送信で多くのビットを運ぶ変調方式です。
これまで学んだASK(振幅で表す)とPSK(位相で表す)を合体させたものがQAMだと考えると分かりやすいです。身近な例で言うと、信号を伝えるのに「光の明るさ(振幅)」と「点滅のタイミング(位相)」を組み合わせるイメージ。1つの要素だけより、2つを組み合わせた方がはるかに多くのパターンを表現できます。
上のツールでQAM方式を切り替えると、信号点の数が変わります。点を1つクリックすると、その点が表すビット・振幅・位相が確認できます。点の数が多いほど、一度にたくさんのビットを送れることを確かめてください。
QAMは「振幅」と「位相」という2つの独立した目盛りを組み合わせることで、たくさんの状態(信号点)を作り出します。
ポイントは次のとおりです。
・振幅:中心からの距離。波の強さを何段階かに分ける
・位相:回転の角度。波のタイミングを何通りかに分ける
・組合せ数:振幅の段階数 × 位相の通り数 だけ状態が作れる
例えば16-QAMなら16通りの状態が作れます。16 = 24 なので、1つの信号点で4ビット(0000〜1111)を一度に運べます。ASKやBPSKが1回1ビットだったのに比べ、同じ時間で4倍の情報を送れる計算です。
・4-QAM:4状態 = 2ビット/シンボル
・16-QAM:16状態 = 4ビット/シンボル
・64-QAM:64状態 = 6ビット/シンボル
ただし、状態を増やすほど信号点どうしが近づき、雑音で隣の点と取り違えやすくなります。たくさん運べる代わりに雑音に弱くなるというトレードオフがあるため、回線の品質に応じて方式を切り替えます。これがWi-Fiや携帯電話で「電波が良いと速い」理由のひとつです。
コンスタレーション図(信号点配置図)とは、QAMの各状態を平面上の点として表した図です。「コンスタレーション」は英語で「星座」の意味で、点が散らばる様子が星座のように見えることから名付けられました。
この図の読み方は次のとおりです。
・横軸(I軸):同相成分(In-phase)。基準の波の強さ
・縦軸(Q軸):直交成分(Quadrature)。90°ずらした波の強さ
・中心からの距離:その点の振幅の大きさ
・中心から見た角度:その点の位相
上のツールの図がまさにコンスタレーション図です。16-QAMでは4×4の格子状に16個の点が並び、各点に4ビットが割り当てられています。送信側は送りたいビットに対応する点へ波を設定し、受信側は届いた波がどの点に最も近いかで元のビットを復元します。
・点が密=高速だが雑音に弱い(64-QAMなど)
・点が疎=低速だが雑音に強い(4-QAMなど)
・雑音は点を本来の位置からずらす。隣の点に届くと誤り