多数のIoT機器を接続しデータを収集・制御するためのネットワーク。
IoTネットワークとは、センサー・家電・車・工場機械など、たくさんの「モノ」をインターネットにつなぎ、データを集めたり遠隔で制御したりするための通信網です。IoTは「Internet of Things」の略で、=モノのインターネットのことです。
ふつうのネットワークは「人がパソコンやスマホを操作して使う」のが中心ですが、IoTネットワークは機器が自動でデータを送り合うのが中心です。温度センサーが室温を送り、その値を見てエアコンが自動で動く、といった使い方をします。
身近な例で考えると、大きな倉庫の在庫管理に似ています。棚に付けた無数のセンサー(モノ)が在庫数を自動で報告し、中央のコンピュータ(クラウド)がそれを集計して発注の指示を出す──このような自動の情報のやり取りが、IoTネットワークの典型です。上の図解で機器からクラウドへデータが集まる流れを確認してみてください。
プロトコル(=通信の約束ごと・手順のこと)にはいろいろありますが、IoT機器は性能が小さく電池で動くことも多いため、軽くて省エネな専用プロトコルが使われます。代表的なものは次の2つです。
・MQTT:データを「発行する側」と「受け取る側」に分け、間にブローカー(仲介役)を置く方式。少ないデータで効率よく多数の機器をさばける
・CoAP:Webと同じ考え方を軽量にしたもの。1往復のやり取りが小さく、低消費電力の機器に向く
| プロトコル | 通信方式 | 特徴 |
|---|---|---|
| MQTT | 発行/購読(pub/sub) | 多数の機器を効率よくさばく |
| CoAP | 要求/応答(UDPベース) | 軽量で低消費電力に向く |
MQTTの発行/購読モデルは、新聞の配達に例えると分かりやすいです。発行者(センサー)はブローカー(新聞社)に記事を渡すだけで、誰が読むかを気にしません。読みたい人(購読者)が事前に「このテーマを購読する」と登録しておけば、自動で届きます。送り手と受け手が直接つながらないので、機器が増えても管理が楽になります。
IoTネットワークには、ふつうのインターネットとは違う特有の要件があります。とくに重視されるのは次の3点です。
・低消費電力:機器は電池で何年も動くことが多いため、通信で電力を使いすぎない工夫が必要
・多数同時接続:1つのエリアに何千・何万という機器がつながるため、大量接続に耐える必要がある
・広域カバー:屋外や離れた場所の機器とも通信できるよう、電波が遠くまで届くことが望ましい
注意したいのは、必ずしも高速・大容量が必要なわけではない点です。多くのIoT機器は「温度は25度」のような少量のデータを送るだけなので、速度より省エネで安定してつながり続けることのほうが大切になります。これらの要件を満たすために、LPWA(低消費電力で広い範囲をカバーする通信規格)などが使われます。
身近な例で考えると、町中に貼った無数の付箋のようなものです。1枚1枚に書く内容(データ)はわずかですが、枚数が膨大で、しかも長く貼り続ける必要がある──だからこそ「少ない情報を、省エネで、たくさん、広く」やり取りできる通信が求められるのです。