メールサーバから自分の端末へメールを受信するためのプロトコル。
POP3(Post Office Protocol version 3)とは、メールサーバから自分の端末へメールを受信するためのプロトコルです。プロトコル=通信の決まりごと、のことです。届いたメールをサーバから自分のパソコンやスマホへ取りこむときに使います。
身近な例で考えると、郵便局の私書箱から手紙を持ち帰るのに似ています。私書箱(サーバ)に届いた手紙を、自分の家(端末)へまとめて持ち帰り、家で読みます。持ち帰った手紙は私書箱からは無くなります。
なお、メールの送信に使うのは別のプロトコル(SMTP)です。POP3はあくまで受信専用である点をおさえましょう。上のツールで▶ボタンを押すと、サーバから端末へメールが取りこまれ、サーバから消えていく流れを確認できます。
POP3でメールを受信するときは、メールソフトとサーバが短いコマンドをやり取りします。やり取りは大きく次の順番で進みます。
・① 接続・認証:サーバの110番ポートに接続し、USER/PASS でユーザ名とパスワードを送って本人確認する
・② 一覧確認(LIST):何通のメールが届いているかをサーバに問い合わせる
・③ ダウンロード(RETR):1通ずつ本文を取りよせ、端末に保存する
・④ 削除(DELE):取り込んだメールをサーバから削除するようマークする
・⑤ 切断(QUIT):接続を終える。このとき削除が確定する
サーバの応答は、成功なら「+OK」、失敗なら「-ERR」という分かりやすい文字で返ってきます。上のツールのシーケンス図で、端末(青)からのコマンドとサーバ(紫)からの応答が交互に並ぶ様子を確認できます。
受信用プロトコルには POP3 のほかに IMAP があります。いちばんの違いはメールをどこに置くかです。POP3 はメールを端末に取り込んでサーバから消すのに対し、IMAP はメールをサーバ上に置いたまま管理します。
| 項目 | POP3 | IMAP |
|---|---|---|
| メールの置き場所 | 端末にダウンロード | サーバ上に保管 |
| 複数端末で見る | 苦手(端末ごとにバラバラ) | 得意(どこでも同じ状態) |
| 向いている使い方 | 1台でオフライン中心 | 複数端末・大量メール |
スマホとパソコンの両方で同じメールを見たいなら IMAP が便利です。一方、1台の端末だけで使い、サーバ容量を節約したいなら POP3 が向いています。どちらも受信用という点は同じです。
POP3はメールを端末へダウンロードした後、サーバ上のメールを削除するのが標準的な動作です。これは、POP3が登場した時代の「インターネット接続は短時間、メールは手元のPCで読む」という使い方に合わせた設計だったからです。
なぜ削除するのか。当時のサーバはストレージ(記憶容量)が高価だったため、端末に取り込んだメールをサーバに残しておくのは無駄とみなされました。「私書箱から手紙を持ち帰ったら、私書箱には残さない」という感覚です。
ただし、POP3には「サーバに残す」オプションも存在します。メールソフトの設定で「サーバにメッセージのコピーを残す」をオンにすると、削除を実行しないままQUITでき、サーバにも同じメールが残ります。現在は複数端末で使うためにこの設定を使うこともありますが、それでもサーバとの同期は行わないため、IMAP のほうが複数端末向けとして優れています。
メールの通信には送信と受信で別々のプロトコルを使います。混乱しやすいポイントなので、全体の流れを整理します。
・送信(SMTP/25番):メールを送るときは SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)を使う。送信側の端末からメールサーバへ、またはサーバ間の転送にも使われる
・受信(POP3/110番):メールサーバに届いたメールを手元の端末に取り込むときに使う
・受信の別候補(IMAP/143番):サーバにメールを残したまま管理したい場合はこちら
覚え方のポイントは、POP3はメールの「受け取り窓口」で、ポート番号は110番と決まっています。「送るのがSMTP、取り出すのがPOP3(またはIMAP)」と役割を分けて覚えると整理しやすいです。