OSI参照モデルの第3層で、宛先までの経路選択とアドレス割当てを担う層。
ネットワーク層とは、OSI参照モデル(=通信の役割を7つの層に分けて整理した世界共通の考え方)の第3層で、離れた相手まで、複数のネットワークをまたいでデータを届けるための「住所付け」と「道案内」を担う層です。
下のデータリンク層が「隣の機器まで」しか運べなかったのに対し、ネットワーク層は送信元から最終的な宛先まで(エンドツーエンド)を見渡し、途中のルータを乗り継いで届けます。ここで扱うデータの単位をパケット(=宛先IPなどを付けたデータのかたまり)と呼びます。
身近な例で考えると、郵便の宛先住所と配送ルートに似ています。荷物に住所(IPアドレス)を書いておけば、各地の配送センター(ルータ)が「次はどこへ送ればいいか」を判断して、最終的に宛先へ届けてくれます。上の図解で第3層(赤くハイライト)がこの役割です。
ネットワーク層の中心となるプロトコル(=通信の取り決め)がIP(Internet Protocol)です。IPは、各機器にIPアドレス(=ネットワーク上の住所を表す番号)を割り当て、パケットに宛先・送信元のIPアドレスを書き込んで送り出します。
IPアドレスには大きく2種類あります。
・IPv4:32ビットで表し、192.168.1.5 のように10進数4つで書く
・IPv6:128ビットで表し、アドレスの数が圧倒的に多い新しい方式
また、IPアドレスは「どのネットワークか(ネットワーク部)」と「その中のどの機器か(ホスト部)」に分かれており、これがルータの道案内に使われます。
ここで大事なのは、IPは「届けようと努力する」だけで、確実に届く保証はしないという点です。途中でパケットが失われても、IP自身は再送しません。確実さの保証は上のトランスポート層(TCP)が担当する、と覚えておきましょう。
ルーティングとは、パケットを宛先まで届けるために「次にどのルータへ渡すか」を選び続ける仕組みです。これを担当する機器がルータです。
各ルータはルーティングテーブル(=「この宛先なら次はここへ送る」を一覧にした道案内表)を持っています。パケットが届くたびに次の手順を繰り返します。
・① 宛先IPを読む:パケットの宛先アドレスを確認する
・② テーブルと照合:その宛先に一番合う行を探す
・③ 次のルータへ転送:表に書かれた次の送り先へパケットを渡す
これを宛先に着くまでバケツリレーのように繰り返します。
上の図解の通り、行き先が複数あるときは遠回り(点線)ではなく、なるべく良い経路(実線)を選ぶのがルーティングの役目です。カーナビが渋滞を避けて最適ルートを案内するのと同じイメージで捉えると分かりやすいでしょう。
IPアドレスは「ネットワーク部(どのグループか)」と「ホスト部(そのグループの何番目か)」の2つに分かれています。どこまでがネットワーク部かを示す値をサブネットマスク(=IPアドレスの境目を表す値)と呼びます。
たとえば 192.168.1.5 / 24 というアドレスは次のように読みます。
・ネットワーク部:192.168.1(左の24ビット分)=「同じ組(グループ)に属するかどうか」を決める
・ホスト部:.5(右の8ビット分)=「その組の中の5番目の機器」を指す
・ネットワーク部が同じ機器同士は同一ネットワーク(同じ組)に属し、ルータなしで直接やり取りできます
身近な例で考えると、都市と番地に似ています。「大阪市北区(ネットワーク部)の1番地(ホスト部)」のように、上位の住所でグループを決め、末尾の番号で個人を特定します。ルータは「別の区(別のネットワーク)」への荷物だけ引き受ける配送センターにあたります。
ネットワーク通信では「どこまで届けるか」に使うアドレスが2種類あります。ネットワーク層のIPアドレスと、その1つ下のデータリンク層のMACアドレスです。
| 項目 | IPアドレス | MACアドレス |
|---|---|---|
| どの層? | ネットワーク層(第3層) | データリンク層(第2層) |
| 役割 | 離れた宛先まで届ける(エンドツーエンド) | 隣の機器へ渡す(区間ごと) |
| 変更 | 設定で変えられる(論理的) | 機器固有で原則変えられない(物理的) |
| 例 | 192.168.1.5 | AA:BB:CC:DD:EE:FF |
実際の通信では、パケットが宛先に届くまで「ルータを1つ越えるたびにMACアドレスは書き換えられ、IPアドレスは変わらない」という連携が行われます。
・IPアドレス:最終目的地(宅配の届け先住所)として最初から最後まで変わらない
・MACアドレス:区間ごと(次のルータまで)の「誰に渡すか」を示すラベルで、ルータを越えるたびに書き換わる
身近な例では、飛行機の乗り継ぎ旅行に似ています。最終目的地(東京=IPアドレス)は変わらず、搭乗券(MACアドレス)だけが乗り継ぎごとに替わるイメージです。