搬送波の振幅の大小で0と1を表す変調方式
ASK(Amplitude Shift Keying=振幅偏移変調)とは、デジタルの0と1を、搬送波(=情報を運ぶための基準となる規則正しい波)の振幅(=波の山の高さ)の大小で表す変調方式です。「変調」とは、運びたいデータに合わせて波の性質を変化させることを指します。
身近な例で言うと、懐中電灯の明るさで合図を送るイメージです。明るく光らせたら「1」、暗くする(または消す)と「0」と決めれば、光の強さの変化だけで情報を伝えられます。ASKはまさにこれと同じで、電波の強さ(振幅)を大きくしたり小さくしたりして0と1を区別します。
上のツールでビット列のマスをクリックすると、0と1が切り替わり、波形がリアルタイムに変化します。1のところは波が大きく、0のところは波が小さく(または平ら)なることを確認してください。
ASKでは、まず一定の高さで規則正しく振動する搬送波を用意します。これに送りたいビット列を重ね合わせ、ビットの値に応じて振幅を切り替えます。
具体的には次のように振幅を割り当てます。
・ビットが1:振幅を大きくする(強い波)
・ビットが0:振幅を小さくする、または完全に0(無信号)にする
・周波数と位相は一定:振幅だけを変える点がASKの特徴
特にビット0のときに完全に波を止める(振幅0)方式をOOK(On-Off Keying)と呼びます。「波を出す=1、止める=0」という最もシンプルなASKで、リモコンの赤外線通信などで使われます。上のツールの「ビット0の表し方」を切り替えると、無信号にする場合と小さな振幅で表す場合の違いが見られます。
ASKは仕組みがシンプルで回路も作りやすい反面、雑音(ノイズ)に弱いという弱点があります。
理由は、雑音そのものが波の強さ(振幅)の乱れとして現れるからです。送信側が「強い波=1」と送っても、途中で雑音が乗って振幅が変わってしまうと、受信側が「これは1なのか0なのか」を間違えやすくなります。
・雑音の影響:振幅に直接ノイズが重なり、判定がぶれる
・距離の影響:遠くに送るほど波が弱まり、0との区別がつきにくい
・対策:雑音に強い周波数で表すFSKや位相で表すPSKが使われる
身近な例えで言うと、騒がしい場所で声の大きさだけで「はい・いいえ」を伝えるようなものです。周りがうるさいと、相手が小声で言ったのか大声で言ったのか聞き分けにくくなります。