HDDの記録面を区切る単位(同心円のトラック・扇形のセクタ・縦に揃ったシリンダ)
トラック・セクタ・シリンダとは、HDD の記録面(データを書き込む円盤の表面)を区切るための単位です。データの位置を正確に指定するために、円盤を細かく区画分けして住所のように管理します。
・トラック:記録面上の同心円(中心が同じ円)。1本1本が独立した記録の道です。
・セクタ:トラックを扇形に分けた最小の区画。データの読み書きはこの単位で行われます。
・シリンダ:複数のプラッタで同じ位置にあるトラックを縦に束ねたもの。
身近な例えで言うと、陸上競技場のトラック(走路)と、それを区切った区画を思い浮かべると分かりやすいです。同心円のレーンがトラック、そのレーンを横線で区切った1区間がセクタにあたります。上のツールで▶ボタンを押すと、3つの単位が順番にハイライトされて関係が見えてきます。
3つの単位は、それぞれ「平面の中での区切り」と「立体の中での束ね方」という別々の見方をしています。混同しやすいので、見る向きで整理しましょう。
・トラック(横から見ると1本の円):1枚の記録面の中で、半径の違う同心円が何本も並んでいます。外側ほど円周が長くなります。
・セクタ(トラックを縦に切る):1本のトラックを扇形に分けた区画で、データを読み書きする最小単位です。1セクタは多くの場合 512 バイトです。
・シリンダ(複数面で縦に揃える):HDD には複数のプラッタが重ねて入っており、各面の「同じ半径位置のトラック」を縦に束ねたものがシリンダです。
ヘッドはアームで束ねられて全プラッタを同時に動くため、ヘッドをある位置で止めると、全プラッタの同じトラック(=1つのシリンダ)に一斉にアクセスできます。立体的に積み上がったトラックの集まりが、ちょうど空き缶を積んだ円柱(シリンダ)に見えることからこの名前が付きました。
そのため、データの位置は「シリンダ番号(どの円か)・ヘッド番号(どの面か)・セクタ番号(その円のどの区画か)」の3つで一意に指定できます。上のツールで右側の積層図を見ると、シリンダが縦に揃った束であることがイメージできます。
トラック・セクタ・シリンダの数が分かると、HDD 全体の記憶容量を計算できます。「各単位が何個あるか」を順番に掛け合わせるだけです。
容量 = シリンダ数 × 記録面数 × セクタ数 × セクタ長
それぞれの意味は次のとおりです。
・シリンダ数=1面あたりのトラック数(縦に束ねても本数は同じ)
・記録面数=プラッタ枚数 × 2(表と裏の両面を使う。=ヘッド数)
・セクタ数=1トラックを何区画に分けたか
・セクタ長=1セクタのバイト数(通常 512 バイト)
計算例:プラッタ2枚(=4面)、1面あたり 5 トラック、1トラック 8 セクタ、1セクタ 512 バイトのとき
記録面数 = 2 × 2 = 4 面
容量 = 5 × 4 × 8 × 512
= 81,920 バイト(約 80 KB)
上のツールでシナリオを切り替えると、各単位の数と総容量が連動して変わります。プラッタ枚数が増えれば面が増え、トラックやセクタが増えればその分だけ容量が増えるという関係を、計算式と見比べながら確認してみてください。