微細なインクの滴を紙に吹き付けて印刷する方式のプリンタ
インクジェットプリンタとは、液体のインクを微細な滴(しずく)にして、紙に直接吹き付けて印刷する方式のプリンタです。「ジェット(jet)」は「噴射」という意味で、その名のとおりインクを噴き出して点を打っていきます。
身近な例えで言うと、霧吹きスプレーをごく小さく精密にしたものと考えると分かりやすいです。1滴は数ピコリットル(1兆分の数リットル)という極めて小さな粒で、これを紙の狙った位置に正確に飛ばします。
家庭用プリンタの主流方式で、本体が安く写真もきれいに印刷できるのが特長です。上の図解では、インクタンク → 印字ヘッド → ノズル → 紙、という流れを順番に示しています。
インクジェットの印刷は、おおまかに次の流れで進みます。
・① インクタンク:シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・黒(K)の液体インクを蓄える
・② 印字ヘッド:紙の上を左右に往復しながらインクを供給される
・③ ノズル:ヘッドに並んだ微細な穴。ここから滴を噴射する
・④ 着弾:紙に当たった滴が点(ドット)になり、無数のドットで絵を作る
ノズルから滴を飛ばす力の作り方には、主に2つの方式があります。
・サーマル方式(熱):インクを瞬間的に加熱して気泡を作り、その膨張で滴を押し出す
・ピエゾ方式(圧電素子):電圧で変形する素子の力で、インクを機械的に押し出す
色を表現する仕組みも知っておくと理解が深まります。CMYK の4色のドットを重ねたり、密度を変えたりすることで、たくさんの色や濃淡を表現します。これは絵の具を混ぜて色を作るのに似た「減法混色=色を重ねるほど暗くなる混ぜ方」です。1インチあたりのドット数(dpi)が多いほど、きめ細かく印刷できます。
もう一つの代表的な方式であるレーザプリンタ(粉のトナーを熱で定着させる方式)と比べると、それぞれの得意・不得意がはっきりします。
| 項目 | インクジェット | レーザ |
|---|---|---|
| 印刷材料 | 液体インク | 粉末トナー |
| 本体価格 | 安い | 高め |
| 印刷速度 | 遅め | 速い(大量向き) |
| 写真品質 | 得意(高品質) | やや苦手 |
| ランニングコスト | 高め(インク代) | 安め(大量印刷) |
使い分けの目安は次のとおりです。
・写真・年賀状・カラー中心で枚数が少ない → インクジェットが向く
・文書を大量に高速で印刷したい → レーザが向く
・本体を安く始めたい → インクジェットが向く
身近な例えで言うと、インクジェットは「絵筆で丁寧に色を載せる」イメージ、レーザは「判子で一気に押す」イメージです。少量の高品質印刷ならインクジェット、大量の文書印刷ならレーザ、と覚えておくと選びやすくなります。