FE EXAM

磁気ディスク(HDD)の構造

回転する磁気ディスク(プラッタ)に磁気でデータを記録する補助記憶装置

DIAGRAM
プラッタ磁気ヘッドアクチュエータスピンドルモータ
HDD 筐体(上から見た内部)プラッタ磁性体を塗った円盤回転スピンドルモータプラッタを一定速度で回すアクチュエータアーム磁気ヘッド読み書きを行うヘッドが内外を移動横から見た断面中心軸(モータ)櫛形アーム複数のプラッタを1本の軸で重ねる各面に1つずつヘッドが付く
HDD と SSD の比較
項目HDD(磁気ディスク)SSD(半導体)
記録方式回転する円盤に磁気で記録フラッシュメモリ(半導体)に記録
可動部品あり(プラッタ・ヘッドが動く)なし(電気的に読み書き)
アクセス速度遅い(機械的な移動が必要)速い(待ち時間がほぼない)
耐衝撃性弱い(動作中の衝撃に注意)強い
容量あたりの価格安い高め
解説

📌
HDDとは

回転する円盤+移動するヘッドアームヘッド

HDD(ハードディスクドライブ=Hard Disk Drive)とは、磁性体(磁石になる材料)を塗った円盤を高速で回転させ、そこに磁気でデータを記録する補助記憶装置のことです。補助記憶装置とは、電源を切ってもデータが消えない記憶装置のことで、パソコンのファイルやOSはここに保存されます。

身近な例えで考えると、回転するレコード盤と針にそっくりです。レコードが回り、針が目的の曲の位置に移動して音を読み取るのと同じように、HDDではプラッタ(円盤)が回り、ヘッド(針にあたる部品)が目的のデータの位置に移動して読み書きします。違うのは、HDDは音の溝ではなく磁気のN極・S極の向きで 0 と 1 を記録する点です。

上の図解は、HDD のフタを開けて中を上から見た様子(左)と、横から見た断面(右)です。円盤が回り、アームの先のヘッドが内側と外側を行き来するという、機械的な動きでデータにアクセスするのが HDD の特徴です。

🧩
内部構造の要素

HDD は主に次の 4 つの部品でできています。それぞれが役割分担して、データの読み書きを実現しています。

プラッタ:磁性体を塗った円盤で、データを記録する「紙」にあたる部分です。1台に複数枚積み重ねて容量を増やします。
磁気ヘッド:プラッタの表面すれすれを浮きながら、磁気の向きを読み取ったり書き換えたりする部品です。プラッタの各面(表と裏)に 1 つずつ付きます。
アクチュエータ(アーム):ヘッドを目的の位置まで動かす腕です。複数のヘッドを櫛のように束ねて、まとめて同じ位置へ動かします。
スピンドルモータ:プラッタを一定の速度で回し続けるモーターです。回転の速さを「回転数(rpm)」で表します。

図書館にたとえると、プラッタは「本棚」、ヘッドは「本を探す係員」、アクチュエータは「係員が乗る台車のレール」、スピンドルモータは「本棚を回す装置」のようなものです。係員(ヘッド)が台車(アーム)で目的の棚の前まで移動し、棚(プラッタ)が回って目的の本が来たら読み取る、という流れになります。

ヘッドはプラッタに接触すると傷がつくため、髪の毛の太さよりもはるかに小さい隙間を浮いた状態で動作します。だからこそ HDD は動作中の衝撃に弱く、丁寧に扱う必要があります。

⚖️
SSDとの違い

HDD と並んでよく使われる補助記憶装置に SSD(ソリッドステートドライブ=Solid State Drive)があります。最大の違いは、HDD には「動く部品」があり、SSD には一切ないという点です。

HDD:円盤を回し、ヘッドを動かして読み書きします。機械的な移動が必要なため、目的のデータにたどり着くまでに時間がかかります。
SSD:フラッシュメモリ(電気的にデータを保持する半導体)を使い、電気的に直接読み書きします。動く部品がないので高速で、衝撃にも強いです。

身近な例えで言うと、HDD は「ページをめくって探す紙の辞書」、SSD は「一瞬で表示される電子辞書」のような関係です。紙の辞書(HDD)は安く大量に作れますが調べるのに時間がかかり、電子辞書(SSD)は速いけれど値段が高めになります。

どちらが優れているということではなく、「速さ重視なら SSD」「容量あたりの安さ重視なら HDD」と用途で使い分けます。上の比較表で、両者の特徴を整理して確認してみてください。

アクセス時間の内訳

HDDアクセスの3ステップ(順番に待つ)シーク時間回転待ち時間転送時間アームがトラックへ移動目的の位置がヘッド下に来るまでデータを実際に読み書き合計=アクセス時間(この合計が長いほど遅い)

HDD がデータを読み書きするまでには、3つの待ち時間が順番に発生します。この合計をアクセス時間と呼び、HDD の速さを表す重要な指標です。
シーク時間(seek time):アームを動かして、目的のデータが記録されている「トラック(同心円の1本の溝)」の真上にヘッドを移動させる時間
回転待ち時間(rotational latency):プラッタが回転して、目的のデータがヘッドの真下に来るまで待つ時間。平均すると「1回転の半分」の時間になります
転送時間(transfer time):実際にデータをヘッドが読み書きする時間

なぜこれが大事なのか。HDD が SSD より遅い根本的な理由は、このシーク時間と回転待ち時間が機械的な動作に依存しているからです。アームを動かす・円盤が回るのを待つ、という物理的な動作は、電気信号だけで動く SSD には存在しません。だから SSD は HDD より桁違いに速くなります。

身近な例えで考えると、回転する円形のターンテーブルに乗った料理が来るのを待つ回転寿司のようなものです。食べたいネタが手元に来るまで、①ベルトコンベアをたぐり寄せ(シーク)、②寿司が流れてくるのを待ち(回転待ち)、③実際に取る(転送)という3段階があります。SSD はメニューを見てすぐ出てくる「注文制」の寿司に相当します。

💡
HDDはなぜ今でも使われるのか

HDD と SSD の使い分けHDD大容量・安価動画・バックアップ向きSSD高速・静音・省電力OS・アプリ起動向き役割で使い分けることで両方の長所を生かせる

SSD が普及した現在も HDD が使われ続ける最大の理由は、「容量あたりの価格の安さ」です。同じ金額で買える容量は HDD の方が SSD よりはるかに大きく、大量のデータを安く保存したい用途には今でも HDD が最適です。

実際の使い分けのパターンは次のとおりです。
HDDが向く用途:動画・写真・音楽などのメディアファイルの保存、バックアップ用ドライブ、NAS(ネットワーク経由で共有するストレージ)
SSDが向く用途:OSやアプリを素早く起動させるシステムドライブ、ゲームのロード時間短縮、持ち歩くノートパソコン(衝撃に強い)

1台のパソコンに SSD(OS・アプリ用)と HDD(データ保存用)を両方積む構成も一般的です。それぞれの長所を使い分けることで、速さと大容量を同時に実現しています。「どちらが優れているか」ではなく、「何に使うか」で選ぶのが正しい考え方です。

関連コンテンツ