1秒間に実行できる浮動小数点演算の回数を表す性能指標
FLOPS(Floating Operations Per Second)とは、1秒間に浮動小数点演算を何回実行できるかを表す性能指標です。「フロップス」と読みます。浮動小数点演算とは、3.14 × 2.5 のような小数を含む計算のことです。
身近な例で言うと、「1秒間に解ける計算ドリルの問題数」のようなものです。ただし、ここで数えるのは整数の足し算ではなく、小数のかけ算・割り算といった「重い計算」だけ。天気予報・分子シミュレーション・AIの学習などは膨大な小数計算のかたまりなので、その速さを測るのにFLOPSが使われます。
上の図解①で、FLOPSの単位がどれだけ大きくなるかを並べています。1段上がるごとに1000倍になることに注目してください。
FLOPSの基本式はとてもシンプルです。
FLOPS = 浮動小数点演算数 / 秒
CPUやスパコンは桁が非常に大きいので、接頭語をつけて表します。1段上がるごとに1000倍(103倍)になります。
・KFLOPS(キロ):103=千 回/秒
・MFLOPS(メガ):106=百万 回/秒
・GFLOPS(ギガ):109=十億 回/秒(現代のPC)
・TFLOPS(テラ):1012=一兆 回/秒(GPU)
・PFLOPS(ペタ):1015=千兆 回/秒(スパコン)
・EFLOPS(エクサ):1018=百京 回/秒(最先端スパコン)
身近な実感としては、普段使うパソコンが数十 GFLOPS、ゲーム用などの高性能GPUで数十 TFLOPSくらいです。スーパーコンピュータになると、その何百万倍ものPFLOPS〜EFLOPSの世界に入ります。
単位は K→M→G→T→P→E の順に「1000倍ずつ」大きくなります。桁数でいうと 103〜1018 に対応します。
FLOPSはスーパーコンピュータ(スパコン)の性能を表す代表的な指標です。世界のスパコンの速さを順位づける「TOP500」というランキングも、このFLOPSの値で競われています。
日本のスパコン「富岳(ふがく)」は約 442 PFLOPS(ペタフロップス)の性能を持ち、登場時に世界1位を記録しました。さらに近年は 1 EFLOPS(エクサフロップス=100京回/秒)を超える「エクサスケール」のスパコンも登場しています。これは普通のPCの何百万倍もの計算力です。
MIPSとの違いもここで整理しておきましょう。図解③のとおり、両者は「数える演算の種類」が違います。
・MIPS:整数命令を含む命令全般の処理速度(事務処理などに向く指標)
・FLOPS:浮動小数点(小数)演算の速度(科学技術計算に向く指標)
天気予報・宇宙シミュレーション・AIの学習などは、小数の計算を膨大にくり返すため、整数中心のMIPSではなくFLOPSで性能を測るのが適しています。「科学技術計算の性能 → FLOPS」「整数中心の処理性能 → MIPS」という対応で整理できます。