数の世界の「分配の法則 a(b+c) = ab+ac」と同じパターンが、論理演算の世界でも成り立ちます。論理式を整理・簡略化するときの基本ルールを式と図でまとめます。
分配法則・結合法則とは、論理式(AND/OR/NOTで作られた式)を意味を変えずに書き換えるためのルールのことです。普通の算数で 2(3+4) = 6+8 と展開できるのと同じ感覚で、論理式も並べ替えたり展開したりできます。
論理式を書き換えるルールはほかにもいろいろありますが、「分配」と「結合」は最も基本的で、論理式の整理に頻繁に使います。
・分配法則: A · (B + C) = (A · B) + (A · C)
・結合法則: (A · B) · C = A · (B · C)
上の図解で、左辺と右辺がイコールで結ばれている式を眺めてください。「形は変わっているけれど、入力AとBとCのどんな組み合わせでも結果は同じ」──というのが「等しい」の意味です。
| ルール | 数の世界(算数) | 論理の世界 |
|---|---|---|
| 結合(同じ演算) | (2+3)+4 = 2+(3+4) | (A·B)·C = A·(B·C) |
| 交換(順序入れ替え) | 2+3 = 3+2 | A·B = B·A |
| 分配 ①(積を和へ) | 2(3+4) = 2·3 + 2·4 | A·(B+C) = A·B + A·C |
| 分配 ②(和を積へ) | 2 + 3·4 ≠ (2+3)(2+4) | A + B·C = (A+B)(A+C) |
面白いポイント: 数の世界では 2 + 3×4 = 14 ですが、(2+3)(2+4) = 30 なので違う値になります。一方、論理の世界では A + B·C = (A+B)(A+C) が成り立ち、これは論理代数(ブール代数)特有の性質です。
なぜ成り立つのかは、両辺を真理値表で確かめると一目瞭然です。A, B, C の8通り(2^3)すべての組み合わせで、左辺と右辺の結果が同じになります。「迷ったら真理値表で検算」が確実な確かめ方です。
身近な例で考えると、「コーヒーまたは(紅茶 かつ ケーキ)」という条件を考えると分かりやすいです。これを言い換えると「(コーヒー または 紅茶)かつ(コーヒー または ケーキ)」──コーヒーがある人はどちらの言い方でもOK、コーヒーがない人は紅茶もケーキも揃っている必要がある、と同じ条件を表します。
分配法則と結合法則の最大の使いどころは、論理式を簡略化することです。回路設計では、式を短くすればその分だけ論理ゲート(電子部品)を節約できます。
典型的な使い方:
・「展開する」: A·(B+C) → A·B + A·C(ばらして真理値表に持ち込む)
・「くくり出す」: A·B + A·C → A·(B+C)(共通項をまとめる)
・「順序を入れ替える」: 結合法則を使って計算しやすい形に整える
「論理式と等価なもの(同じ意味の式)」を見つけるときは、与えられた式を分配法則・結合法則・ド・モルガンの法則のいずれかで変形して、同じ形になるものを探すのが基本的な進め方です。
覚えるコツ: 分配法則は2方向に使える(展開と、くくり出し)と意識しておくと、目的に応じてどちらの方向で使うかを判断できるようになります。最終的にはカルノー図などのツールと組み合わせて、機械的に最小の式を見つけられるようになります。